2話 ページ2
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「はあ、だめだ寝付けない」
私は今、現実逃避をするため、二度寝の態勢に入っていた。
だが、何度も何度もゴロゴロと寝返りを打っているのにも関わらず、一向に眠れない。
動きすぎてベッドがギシギシという音を立てた。
たったそれだけの音と「ベッド」という単語から、全く記憶のない昨日の夜を連想してしまう。
隣でもぞもぞと動く全裸の男が隣にいることを思い出し、またもため息をついた。
今までの人生で、学生時代の受験シーズンや、納期の迫った仕事をこなす３徹目の夜のような、寝たくても寝られないような状況が多かった私にとっては、逆にその感覚がきついくらいだ。
ぼんやりとどうでもいいことを頭に張り巡らせるが、そんなことを呑気に考えられるほど私の頭の容量は大きくない。
もう本当に、消えてしまいたい。
なぜ私がこんなに気に病んでいるのか。
理由は大きく分けて2つある。
一つ目は、この男がもしも既婚者だった場合。
本当に、あり得ない話ではあるが、この男が実は既婚者だったら。奥さんと夫と知らない女、なんていう昼ドラもびっくりリアル修羅場の出来上がりだ。それだけは絶対に嫌だ。
平穏で普通だったはずの日々、あってないような趣味に使う多くないお給料を慰謝料請求に追われるなんて人生、私は嫌なのだ。できることなら今日のことはお互い無かったことにして一刻も早くこのベッドルームから抜け出したいというのが他ならぬ本音である。
でもこの考えは、一般人なら全然行き当たる方向性だ。
多分この世の女性が今の私と同じ状況に陥ったら、まず絶対にこのことを疑うだろう。
そして、とりあえず相手の方を起こして、昨日の夜の記憶について問いただしたり、相手が普通の人間なら、これからどうしようか、なんて話し合いや謝罪合戦、あるいはそのような相手がお互いにおらず、そこから恋に発展、なんてケースが考えられる。
でも、私はそうはいかない。
それが2つ目の理由。
ソレは、ベッドの横に備え付けてあるサイドテーブルの上に乗っていた。
当然、私が起きる前からだ。
そして、ソレに触れなかったのは、この男とその物体からやべえ匂いがしたからだ。
日光に照らされて黒光する鉄の重い質感。
ずっしりとした見た目とは裏腹にとても持ち運びに便利そうな形をしている。
紛れもなくそれは拳銃だった。
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けんまおし1016(プロフ) - とてもおもしろいです！少し文章の間を広くしてくれれば読みやすいと思います！ (2022年8月17日 19時) (
レス) @page3 id: 92260459e9 (このIDを非表示/違反報告)
あーちゃ(プロフ) - コメント失礼致します！！読んでて凄くきゅんきゅんしました、！！！素敵な作品を本当にありがとうございます😭💕💕 (2022年8月14日 5時) (レス) @page21 id: c45d7c6a24 (このIDを非表示/違反報告)
ノンレム睡眠 - 前々から気になってた作品で読んでみるとど好みストレートでびっくりしました🙃 これからも愛読させていただきます！神作ありがとうございます🙌❤ (2022年8月12日 18時) (レス) @page21 id: 28b1a8c3b0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Ir | 作者ホームページ：http://manaaa
作成日時：2022年7月16日 22時
