25話 ページ26
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「嬉しく、ないの」
虚を突いて飛び出た言葉は、俺の気持ちと正反対のものだった。
嬉しくないのか。
嫌な人間がいないと知ったら、嬉しくないのか。
それをしてくれた人に、ありがたく思わないのか。
そんなこと聞く気でいたわけじゃない。ただ、自分の気持ちが正面から出てしまっただけで。
Aちゃんは怒らないのだろうか?
希望いっぱいで初めて入社した会社で散々な目に遭わされて、それでも大して怒っている風ではなかった。
それでいて、そんな人間を潰した
ねぇ、Aちゃんはさ、
『どうやったら、そういう感情を見せてくれるの?』
君の家族を全員殺してしまおうか?
君の友達全員の指を切り取って、プレゼントすればいい?
どうすれば俺は、君のそういう生の表情を見ることができる?
あーダメや。
そういうのは、ただ怖がらせるだけ。
これじゃあAちゃんが俺に抱くのはいつまで経っても恐怖だけ。
「食べなよ。おいしいで?」
「あ、ありがとうございます、いただきます…」
口ではそういいながら、Aちゃんの手は一向に進まない。元々、あんまりお腹が空いている感じではなかったけど、俺の話したことがショックだったのもあるんだろうな。
ねー、いつか
俺と君は、きっと。
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けんまおし1016(プロフ) - とてもおもしろいです!少し文章の間を広くしてくれれば読みやすいと思います! (2022年8月17日 19時) (レス) @page3 id: 92260459e9 (このIDを非表示/違反報告)
あーちゃ(プロフ) - コメント失礼致します!!読んでて凄くきゅんきゅんしました、!!!素敵な作品を本当にありがとうございます😭💕💕 (2022年8月14日 5時) (レス) @page21 id: c45d7c6a24 (このIDを非表示/違反報告)
ノンレム睡眠 - 前々から気になってた作品で読んでみるとど好みストレートでびっくりしました🙃 これからも愛読させていただきます!神作ありがとうございます🙌❤ (2022年8月12日 18時) (レス) @page21 id: 28b1a8c3b0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Ir | 作者ホームページ:http://manaaa
作成日時:2022年7月16日 22時