【ＨＱ】脇役とヒロイン。

＊第５２話＊ ページ9

＊





〜及川side〜



「そう、だったんだ」



岩ちゃんから、過去の話を聞いた。


岩ちゃんも、萌恵のこと…好きだったんだね…

なんて、知りたくなかっただけかもね


それに岩ちゃんの言う通り、俺は気が付いていた。

斉藤は俺に気があることを…


知ってたけど、知らない振りをした。

反応が見たかったからなのか

ただ、いじめたかったからなのか

今の俺には、わからないんだ。



「岩ちゃんのさ、今の好きな人は…

斉藤、なんでしょ…？」


「…ああ」


「そっか」



岩ちゃんの好きな人が斉藤で…

二口くんの好きな人も斉藤。

音駒の人たちも、斉藤のこと…好きなんだろうな。



「俺さ、わかんないんだよね」



自分のこと

周りのこと

何にも、わかってなかったみたい。



「…」


「今までさ、恋愛とか真面目にやってなかったし…

萌恵に会って、気付かされたようなもん…

でもさ、斉藤と一対一で話したら、余計にわかんなくなっちゃった」



本当、斉藤の所為なんだから…

なんて、最悪だな…俺。



「…」


「斉藤は、本当に優しくて、思いやりがあって…

斉藤が俺のこと好きだった時になんで

あんなに冷たく、接しちゃったんだろうな…って、最低なヤツだよね」



過去に行けるのなら、

昔の俺を殴りに行きたいよ。



「…それは、俺もだろ。

斉藤のこと、何にも知らないくせに苦手とか、決め付けて」



岩ちゃんは、いい人だよ。

斉藤のこと、一番に気付けてた。



「岩ちゃん…

ごめんね、俺…主将の所為にちゃんと出来なくて…」



これは、せめてしもの謝罪。



「それをカバーすんのが、俺の役目だろ？」



岩ちゃんは、俺より、

本当に主将に向いてるんじゃないの？



「うん…！

ありがとうね、岩ちゃん…！」



もし、岩ちゃんと

好きな人が被ったとしても、

手加減は、しないよ…？


だって、岩ちゃんだって

手加減された勝負なんて…

好きじゃないでしょ…？






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