＊第７７話＊ (閲覧注意) ページ41
＊
〜萌恵side〜
「…私と死んでよ…ｯｯ！」
「…及川っ！！」
徹の方へ一直線で走り出す。
周りのヤツらも、
突然の事で身体が動いてないみたい。
当の本人の徹も、身体が動いていなかった。
「…っ！」
グサッ…と聞きたくなかった音が聞こえた。
誰もが目を塞いだ、"見たくない"と。
私も、目をゆっくりと閉じた。
.
.
「Aは、すごいわね…！」
「ああ、俺たちの自慢の娘だ。」
両親に頭を撫でられながら、
褒められるAは嬉しそうだった。
「うわあ！Aちゃんって、すごいな〜！」
「萌恵の妹ちゃんって、可愛いよね〜！」
私の同級生に愛された妹は、
少し照れていて可愛らしかった。
「好きだ…A」
裕人くんに告白された妹は、
恥ずかしそうに優しく笑っていた。
あの日、あの場所で
車に引かれた私。
決して、死にたかった訳では無い。
でも、もしかしたら私はわざと車の前に飛び込んだのかもしれない。
それは、
気にして欲しかったからなのか。
こんな世界にうんざりしたからなのか。
記憶を喪った今では、わからないけど…
「萌恵、好きだ。」
それでも、私を愛してくれる人がいた。
及川徹、部活のみんな。
親も友達も、みんな私を心配して愛してくれた。
「私も、好きだよ！」
だから、笑った。
あの頃のAみたいに。
そしたら、みんなが私をあの頃の妹の様に愛した。
笑顔って、大切なんだと感じた。
事故にあってから、
私は、記憶を喪っていたけれど
心のどこかでわかっていた。
だから、部活に所属していないAをバレー部のマネへと勧誘したのかもしれない。
…もし、
あの頃の自分に会えるのなら言ってやりたい。
「無理して笑わなくたっていいんだよ。」
.
.
「…え？」
『…ごめんね…っ、お姉ちゃん…。』
徹を刺してから、数秒後。
閉じた目をゆっくりと開くと、
私の目の前にいたのは、
徹ではなくてAだった。
苦しそうに口から血を流しながら微笑む彼女。
相変わらず、綺麗だと思った。
カッターを持っている手が震える。
彼女の腹部に刺さった"ソレ"は、紅く染まっている。
『…お姉ちゃん…っ』
カッターが刺さっているにも関わらず、
彼女は私を抱き締めた。
カッターは、より深く彼女に刺さる。
私は、言った。
「…なんで…ｯ。」
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夜空 - すごく面白かったです。話が作り込まれていて、私も夜久くん推しです。 (2020年1月28日 21時) (
レス) id: abc6410102 (このIDを非表示/違反報告)
matinbo0622(プロフ) - 夢主ちゃんの初恋相手って及川じゃないんですか？ 山田になってますよ。 (2017年11月4日 11時) (レス) id: 1b52c589be (このIDを非表示/違反報告)
凛曇 - とてもいい話しですね！感動です!!!! (2017年8月23日 22時) (レス) id: acb4818faa (このIDを非表示/違反報告)
沙奈(プロフ) - とっても面白かったです。、素晴らしい作品をありがとうございました！ちなみに質問なんですけど、メールのやつってどうやってるんですか？！ (2017年8月23日 22時) (レス) id: 6f57c0d647 (このIDを非表示/違反報告)
りんか(プロフ) - もちろんです！更新楽しみにしてますね (2016年11月17日 15時) (レス) id: 5339e8d940 (このIDを非表示/違反報告)
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