＊第６４話＊ ページ28
＊
「ねぇ」
グイッ
腕を引かれて、後ろから抱き締められる。
私の耳元には、二口先輩の唇が。
二口先輩の声が、間近で聞こえて…顔に熱が集まるのを感じる。
今度は、がっちりホールドされていて、抜け出そうにも抜け出せない。
『っ…二口先輩っ…ふざけないで』
少し、怒りを込めてそう言うと…
「はは、そんなに怒んないでよ」
そう言って、腕を離してくれたが、
二口先輩は、悲しそうに微笑んで。
「…ごめんね」
なんて、言うのだから。
許してしまう。
『っ別にいいですよ。
だから、速く食堂に行ってください…ご飯、食べれませんよ』
からかうように微笑んで、少し首を傾げてみる。
二口先輩は、嬉しそうに微笑んで、ほんのり頬を赤く染めて。
「うん、そうするわ。
じゃあ、また…あとでな」
『はい、また…あとで』
あとで。
これは、私と二口先輩の小さな小さな約束。
二口先輩が部屋から出て行ってから、私は一息吐く。
そして、青城の方へと目を向けて…溜め息を零す。
『はぁ、どうなるの…かな』
嫌な顔とかされるのかな。
私は、起こすかどうか戸惑っていると扉が開く音が聴こえた。
私は、扉に目をやる。
そこには、
「ぁ…おはよう…Aちゃん」
満面の笑みで立っている、ヒロインの姿があった。
『おはようございます…萌恵、先輩』
なんでだろう…違和感を感じる。
いつもなら、純粋に綺麗だと思えるこの笑顔が。
今は、怖い…恐ろしく、感じる。
それは…なぜ…？
「ねぇ、Aちゃん。
青城のみんなは、私が起こしておくよ…！
Aちゃんは、先に行って…？」
まるで、ヒロインは…
私にいなくなれ。
とでも、言うように私の背中を押して、部屋の外に出そうとする。
『あの…私がやりま』
「私がやるから…ね…？」
私の言葉を遮るようにヒロインは言った。
その言葉は、威圧を放ち…ヒロインのものとはとても思えなかった。
『っ！…はい、わかりました…よろしくお願いします』
私が部屋の外に出ると、それを待っていたかのように
ヒロインは、荒々しく扉を閉めた。
あれは、本当にヒロインなの…？
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夜空 - すごく面白かったです。話が作り込まれていて、私も夜久くん推しです。 (2020年1月28日 21時) (
レス) id: abc6410102 (このIDを非表示/違反報告)
matinbo0622(プロフ) - 夢主ちゃんの初恋相手って及川じゃないんですか？ 山田になってますよ。 (2017年11月4日 11時) (レス) id: 1b52c589be (このIDを非表示/違反報告)
凛曇 - とてもいい話しですね！感動です!!!! (2017年8月23日 22時) (レス) id: acb4818faa (このIDを非表示/違反報告)
沙奈(プロフ) - とっても面白かったです。、素晴らしい作品をありがとうございました！ちなみに質問なんですけど、メールのやつってどうやってるんですか？！ (2017年8月23日 22時) (レス) id: 6f57c0d647 (このIDを非表示/違反報告)
りんか(プロフ) - もちろんです！更新楽しみにしてますね (2016年11月17日 15時) (レス) id: 5339e8d940 (このIDを非表示/違反報告)
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