キラキラ輝く君を見つけた【nqrse】

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ガシャン

自販機で欲しかった飲み物が落ちてきた。



「トリ、狙ってるんだってね。」

「わっ。」



飲み物を取ろうとしゃがむと

上から声がしてきて少し驚いた。

そらるさんだ。



「頑張って。」

「ありがとうございます。」

「贔屓はしないから。」

「もちろん実力で取ります。」

「言うね〜。」



ふっと笑うそらるさん。

周りにいた女子がみんなそらるさんを見ている。

やっぱりそらるさんモテるんだなあ。



「トリを取るには何が一番必要かわかる?」

「・・・曲選?」

「残念。不正解。演出だよ。」



演出はたしかに大事だ。

どう演奏したらかっこいいか

どういう照明だとかっこいいか

でもまずみんなが知ってる曲じゃないと盛り上がらない。



「そこが盲点。

まず万人受けする曲を選んでそれなりの演出で挑む。

でもそれじゃ全然弱い。」

「弱い・・・。」

「曲なんてみんな有名なの選ぶよ。

どうやって差別化するの。

曲の有名度?そんなん俺らでわかんない。」



いつになく真剣な口調で話を続けるそらるさん。



「演出が鍵。演出で差がつく。

どんな曲だってかっこよければ

みんな夢中になるでしょ。

どれほど魅了できるか。それが1番大事。」

「・・・なるほど。ありがとうございます。」

「ここまで言ったんだから絶対結果残せよ。」

「はい。頑張ります。」



よし。えらい。

と言いながらペットをあやすかのように

私の頭を撫でた。

なんだか恥ずかしかった。



「あ。そういえばこないだ屋上で言ってたヤツ大丈夫?」

「あ・・・はい。なんとか。」

「むりしてる顔してるけど。」



私の眉間によったシワにパチンと指パッチンされた。

痛いと手で眉間を抑えるとそらるさんは笑った。



「俺にくらい辛いときは辛いって言っていいから。」

「・・・はい。優しい。」

「特別だからね。」

「部員でよかった〜。」


「(部員だから、じゃないけど。)」



小さく呟いたそらるさんの言葉は

私の耳には届かなかった。





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