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「曲どうしようか。」
「オリジナルは今からじゃムリだからカバーやろう。」
「ねえ、ライブ出るの?」
Aとめいちゃんとライブで
なんの曲をやるか話し合っていると
そらるさんがやってきた。
「そーっす。でるんすよ。」
「ふーん。A初ライブ?」
「はい。そうです。」
「そっか。がんばれ。」
そらるさんはAの頭にポンと手を置いていた。
・・・?
そらるさんは女の子にそう簡単には触らない。
なんだか嫌な予感がして心がざわついた。
「ありがとうございます。頑張ります。」
「うん。
あ、そういえばテストどうだった?」
「あ!!そらるさんはどうでした?」
俺は俺の知らない話で盛り上がるふたりを
ただ、眺めていた。
眺めることしかできなかった。
「めいちゃん、なるせくん。
ちょっとそらるさんと自販機行ってくるね。」
「・・・うん。わかった。」
満面の笑顔で教室を出ていく彼女。
そらるさんと話すとそんなにかわいい笑顔になるのか。
胸がチクチクと痛む。
「なるせ、いいの?」
「は?なにが?」
「好きなんでしょ?」
「・・・は?何言ってんの。」
めいちゃんは、俺の心を読んだかのような話をしてきた。
いつもバカなのにこういう時だけ鋭い。
「顔に書いてあるよ。」
「・・・ちげーよ。」
「俺にくらい素直になってもいいんじゃないの。」
「・・・。」
黙って俯く俺を見て
めいちゃんは、はぁとため息を吐いた。
「言いたくないならいいけどさ。
うかうかしてると取られちゃうよ。」
「・・・わかってるよ。」
めいちゃんに言われなくたって
俺がいちばんよくわかってる。
そらるさんはかっこいいし優しい。
このまま何も変わらなかったらすぐ取られてしまう。
「ただいまぁー。」
悶々と悩んでいると意外にも早く帰ってきたA。
手にはペットボトルを持っていた。
「何してたの?」
「そらるさんとジュースをかけて
テストの平均点の勝負してたんだけど
勝ったから買ってもらったんだ〜。」
「ふーん。俺も頑張ったよ?」
「へ?」
「ご褒美は?」
「えっ、ご褒美?まあ確かに頑張ったよね。どうしよう。」
うーんと項垂れる彼女の姿を見て
少しだけ優越感を感じた。
俺のために悩んでいる。考えている。
ああ。なんて心が狭いんだ。
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おだんご(プロフ) - こまさん» ありがとうございます!!自分のペースで頑張ります(*¨*) (2022年1月5日 18時) (レス) id: d246a24e38 (このIDを非表示/違反報告)
こま(プロフ) - めっっちゃくちゃ好きです。更新無理せず頑張ってください😌 (2022年1月5日 16時) (レス) @page17 id: a651c1321e (このIDを非表示/違反報告)
おだんご(プロフ) - 亜豆さん» 嬉しいお言葉、ありがとうございます(*¨*)頑張ります!!! (2022年1月4日 12時) (レス) id: d246a24e38 (このIDを非表示/違反報告)
亜豆 - 私の日常に起きて欲しいストーリです。読み出すと夢中になり、すぐ読み終わってしまいました。これからも投稿頑張ってください。 (2022年1月4日 9時) (レス) @page13 id: 8e381d11c1 (このIDを非表示/違反報告)
おだんご(プロフ) - 蓮華さん» ありがとうございます、嬉しいです、、(*¨*) (2022年1月4日 0時) (レス) id: d246a24e38 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おだんご | 作成日時:2021年12月30日 11時