86話:偽りのブラック ページ17
雑誌の仕事を終え、
夜のラジオの時間まで
まだまだ時間がある中
喫茶店で時間をつぶしていた。
平日だからか、人が少なく
1人でテラス席を独占
頼んだのはココア
いつもスタジオで飲むココアとは
少し違い贅沢をしている気分になる。
ゲームのアフレコに行き詰まりと
雑誌の仕事でかなり気が滅入ってしまい
タバコを一本吸う事にした。
火を付ける手を
携帯の着信音がとめる。
誰からの着信なのか確認して
少しだけためらったが出ることにした。
『もしもし、お疲れ様です』
【お疲れ様、朝起きれた〜？】
『はい、お陰様で眠かったです
朝ご飯ありがとうございました』
「そんな、お陰様でって」と電話の向こう側で
笑うのは遊佐さんだった。
【何処に居るの？】
『ラジオの収録現場すぐ近くの
喫茶店です、そんなのきいてどうするんですか？』
【べっつに〜？】
ヘラヘラと笑う遊佐さんに
疑問を抱きつつ電話の外の音に耳をかす
『お車ですか？
電話してると危ないですよ』
【んー？大丈夫だよ
スピーカーで話してるから】
暇人なのか？と思いつつ
持っていた火の付いていないタバコを
器用にクルクルと回す。
【何飲んでるの？】
その問いかけに
まだ電話が続くのかと少しだけ嫌気がさす
【当ててあげようか？】
簡単当てられたくないと思い
ムスッとしながら、どうぞとだけ答えた。
【いつも通りココアでしょ？】
『残念、違います
ブラックコーヒーです』
私は、意地悪をした。
ココアを飲んでいるがコーヒーと答えたのだ。
それに、いつもなら苦くて飲めない
ブラックコーヒーと背伸びをして答えた。
【え〜？本当に？】
『ええ、いつもココアを飲んでいると
思ったら大間違いです』
嘘だねと私の嘘を信じてくれない遊佐さんに
少しだけ苛立ちを覚え
煙草を咥えつつ火を付ける。
漂う煙はすぐに
風に運ばれ消えていく。
「煙草は、あまり吸わないんじゃなかったっけ？」
先程まで、携帯越しできこえた声は
鮮明に私の背後からきこえた。
勢いよく振り向くとそこに遊佐さんが立っていて
私が飲んでいたココアのマグカップに
手を伸ばしたかと思うと
それに少しだけ口をつけた。
「随分と甘いブラックコーヒーだね」
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縦の糸(プロフ) - 桜ソーダ様:読んで頂きありがとうございます！キスマークの所を読んでニヤニヤしてしまいました笑更新する楽しみが１つ増えました！ありがとうございます！！また、読んで頂くと嬉しいです、よろしくお願いします！ (2020年8月18日 10時) (
レス) id: 1b6e254182 (このIDを非表示/違反報告)
桜ソーダ(プロフ) - こんにちは！いつも楽しく読ませて頂いてます！間接キスなどの場面が多いので、いつか主人公ちゃんにキスマークを…と思っています。これからの展開を楽しみにしています！応援しています！ (2020年8月17日 15時) (レス) id: c58ee93382 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：縦の糸 | 作成日時：2020年8月6日 2時
