苦手なはずなのに【2】 (ページ6)

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25話:好きな物嫌いな物ページ6

『石田さん何食べます？』

メニューを開き、２人で覗き込む。

「僕、お肉がいいなぁ…」

石田さんって、あまり野菜食べない代わりに
お肉好きだよなー

『じゃあ、唐揚げにしましょうか
　とっても美味しそうですよ？』

「あ、食べたい。
　Aちゃんも好きなの頼みな」

そう言ってページを
ペラペラとめくってくれた。

グイッ

メニューが少し引っ張れる。

「餃子はないのー？
　ビールと言えば餃子だよね
　僕、それ食べたーい」

遊佐さんがメニューを
3人が見れるように置く。

『残念ながら餃子はありません』

いきなり引っ張りやがってと思いながら
餃子を探したうえでありませんと答えた。

「えー、じゃあお刺身がいい」

『駄目です、お刺身は石田さんが嫌いなので』

「なにそれ」

いつもより低い声で遊佐さんが喋った瞬間
ビックリしてメニューから
目を離し遊佐さんに向けた。

しまった…
この人100歩譲っても先輩だった…

すみませんと言いかけた時

「良いよ～、お刺身頼もう
　僕食べれないけど」

と、言いながら石田さんが笑っていた。

「Aちゃん変に気をつかわなくて良いよ
　皆んなの席だからね

　遊佐くんも、ごめんね」

その言葉に遊佐さんは

「別になんとも思ってませんよ
　そのかわり石田さんが食べたい物
　もう一品頼みましょう」

そう言ってニコニコしていた。