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「お婆ちゃん、ハク、消えないよね?祟り神になったりしないよね?」
千尋は目に涙を溜めて湯婆婆に抱きついた。
「あんた、ちょっと離れて落ち着きな。」
「千、今のところハクにそんな様子はないよ。」
湯婆婆が顔をしかめて千尋を引き離していると、襖の向こう側から坊がひょっこり顔を出して言った。
「ただ、時間の問題だよ。神様って生きてるだけで神通力を使っているから。神通力の増減って周りの生き物とか御神体の状態にもよるしね。」
坊の言葉を聞いて、千尋はポロポロ涙をこぼしてしゃくりあげた。
「私たち人間がハクを苦しめてるのね。御神体だった川を勝手に埋めて、その存在を記憶から綺麗に取り除いて……」
「ですが、千尋さん。朗報ですよ。あなたが今住んでいる家の近くの森に、生まれたての小さな川ができたそうです。生き物もいないので、ハク様をその川の龍神に祀ることができます。」
シンはポンポンと千尋の頭を撫でた。千尋が顔を上げると、シンはニコリと笑った。
「ただ、猫の手では祠が作れませんから。人間の力を借りたいのです。どうです、千尋。」
「……祠を作ったってみんな来ないよ。」
千尋は歯を食いしばり涙をこらえていた。ここまで来る時にだって、まるで石ころのように無造作に医師の祠が投げ捨てられていた。
「千尋さん、本当は自然の神様に祠は要りません。ただ、ハク様はあなたのことを大切にしています。あなたの心の温かさに触れることで、より強い神通力を得られると思います。」
「今の話はほんとうなのね?」
シンは千尋の問いかけにしっかりと頷いた。
「……わかったわ。祠づくりを手伝わせて。私もハクを助けたい。」
「ありがとう、千尋さん。そうと決まれば、すぐにでも行きましょう。ヒョウ!」
シンが叫ぶと、油屋の二階から青年が飛び降りた。千尋は驚いて目を丸くした。
「あはは、びっくりしましたか?彼はヒョウ。狐です。」
「狐?」
ヒョウはぺこりとお辞儀した。シンは彼の肩に手を置きながら話した。
「彼は猫の私より頭がいいので、祠づくりをたくさんサポートしてくれます。私たちはまだ修行中の身ですので、神通力はさほど強くはありませんが、もちろん千尋さんより持っているはずなので、手助けさせていただきますよ。」
シンの言葉にヒョウも頷いた。シンはさらに続けた。
「ちなみに、ヒョウはリンさんの弟ですよ。」
千尋はそれを聞いてとても驚いた。
「えええぇえぇええ?!」
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作者名:manapanda3 | 作成日時:2018年5月17日 21時