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朝の農作業も終わりついに夕方になった。村人たちと話し合った結果、1日目は槍と剣、2日目は弓矢の練習となった。つまり今日は槍と剣の日だ。この時のために、私たちは農作業を早めに切り上げ、木剣と木槍をたくさん作った。元気の良い足音が聞こえてくる。
「必安さーん、無咎さーん!」
「お、来た来た。」
私たちは子供達を土地の中にあった空きスペースに呼びあつめる。地面を均しておけばどこも良い訓練場になり得る。
「槍は私、剣は無咎が教えるよ。」
子供達は思い思いに武器を取り私達の元へ集まる。だいたい半分ずつくらいか。
「じゃあ始めるよ。」
私が声を上げると、やや離れた場所から少し遅れて范無咎の声が聞こえる。
「じゃあ始めるぞ。」
私は子供達に向き直り、目の前に置いた大きな丸太を指し示す。
「今から、あの丸太に槍を突き刺します。」
子供達は微妙な反応をする。1人の子供が手を挙げた。
「先に刃物が付いているんですよ?突き刺さらないことがあるんですか?」
ああ、なるほど。彼らは槍の難しさを知らない。私は笑ってその子供を手招きする。
「やってみれば分かるよ。突いてごらん。」
私は子供にスペアの本物の槍を手渡す。(相棒を使わせるのはいかんせん恐ろしい。子供は何をするか分からないから。)子供は緊張した面持ちで丸太に槍の刃を突き立てようとした。しかし、それはいとも簡単に弾かれる。子供は驚いた顔をして尻餅をついた。私は微笑みながら、子供の手に握られた槍を取る。
「ね?なかなか難しいでしょ?……じゃ、必安先生がお手本を見せるよ。」
私はその槍を構え、丸太を見据える。そして一撃。槍は丸太に吸い込まれた。やはりスペアの槍は扱いづらい。だが、手本にするには上出来だろう。
「槍を使うにあたって必要なのは、握力、腕力だね。槍を突く時は突く手の力も必要かな?……まあ、実戦で突くことはあまり無いし、槍だけ持ち歩いている人はまずいないね。みんな盾やら剣やらを持っている。私も不得手だけど少しは剣が使えるよ。……下手すぎて使ったこと全くないけど。槍は突くものにあらず、叩くもの、とはよく言った言葉だね。槍には突き以外に払い、叩きが有って、汎用性があるのはこの二つだ。突きは強いけど使える場面がなかなか無いかな。」
子供達は熱心に私の話を聞いている。楽しいものだ。あまり話すと時間が勿体無い。私は笑いながら声を張り上げた。
「とまあ話はここまでにしよう。今度こそ、訓練開始!」
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manapanda3(プロフ) - オリジナルフラグを外しました。指摘してくださった方ありがとうございます。返信の文章があまりにもひどかったので書き換えました。今後このようなことがないように意識していきたいと思います。 (2018年11月17日 16時) (レス) id: 1abb178aa1 (このIDを非表示/違反報告)
まる - 作品を作る前にルールをしっかりご確認下さい。オリジナルフラグをちゃんと外して下さい違反行為なので。外し忘れ、とかいう軽い意識はおやめ下さい。オリジナルの新着に二次創作が上がってくる事を不快に感じる人もいます (2018年11月8日 23時) (レス) id: 860a58c456 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:manapanda3 | 作成日時:2018年11月8日 6時