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そこまで言ったところで禪院直哉は理解したのか、冷や汗をかきながら俯いた。
僕はそれを見て、ふぅと小さく息を吐いた。
どうやら僕の勝ちのようだ。


「…すみません、もう少し分かりやすくお願いできますか?」

Aの父親が口を開いた。

「コイツがAと結んだ縛りは、自分と結婚する代わりにAの両親の命と美澄の名家の仲間入りを保証する、この縛りを他言しない、自死をしない、そんなとこだろうと思うんだけど、結婚する前の今の状態では縛りは発動しない。結婚の定義は婚姻届を書いて同じ籍に入ることだ。『結婚』という契約を交わして初めて発動する縛りだから、婚約状態の今はこの縛りを他言することもできるし、Aは死のうと思えば、自分で死ぬこともできたんだ。多分よく考える時間を与えられることもなく縛りを結ばされたんでしょ。Aは縛りを結んだ時点から効果を発揮するものだと勘違いした。だから縛りを結んだことを他の人に言わなかったし、自分では死ねないと思い込んでいた。だから昨日僕に会いに来た時に、僕が色々聞いても言えないとか、何も聞かずにこうしてくれとか、挙げ句の果てに殺してくれなんて言ったんだろうね。」


「そんな…!そんなことだって知ってたら娘を禪院家へ嫁に出すことはしなかったのに…!」

Aの母親はそう言うと再度泣き出し、手を顔で覆った。Aの父親は悔しそうな顔しながら、妻の肩を抱いていた。


「直哉オマエ、本当にそんなことしたのか。」



ずっと黙っていた禪院家現当主が静かに口を開いた。その額には僅かに青筋が立っているのが見える。


「…知らんわ。そいつが出まかせいうとんやろ。俺がそこまでして、この女を手に入れる意味がわからん。」

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ユリ.(プロフ) - riyaさん» こんばんは!楽しみにお待ちいただいて、ありがとうございます(^^)実はまだ1行しか書いていないので、2話くらいかけたらパスワード外して公開しますね。もうしばらくお待ちください!! (2021年6月19日 23時) (レス) id: f91a1710c7 (このIDを非表示/違反報告)
riya(プロフ) - こんばんは。続編のパスワード教えて下さい。楽しみに待ってます (2021年6月19日 23時) (レス) id: 0599723b2d (このIDを非表示/違反報告)
ユリ.(プロフ) - あぷるさん» ありがとうございます!あぷるさんの心の支えの一部にでもなれたなら、とても光栄です!!そうなんです…切ない系の恋が大好きすぎて、何度もすれ違わせてしまいました。そして続編でも…すれ違う予定です。(笑)!優しいお言葉もありがとうございます☆ (2021年6月16日 21時) (レス) id: f91a1710c7 (このIDを非表示/違反報告)
あぷる - 完結本当におめでとうございます。最近の心の支えだったといっても過言ではないです!笑 すれ違いを重ねる恋がもどかしくって…完結と思うと寂しいですがまた新作などがありましたら飛んできます!!お疲れ様でした。いつか結婚式をユリさんが挙げれること祈っています (2021年6月15日 18時) (レス) id: 9ae6da1d4e (このIDを非表示/違反報告)
夢花(プロフ) - そうなんですか!楽しんでコメント読んでいただいて光栄でござりまする。(ほぼ素) (2021年6月15日 16時) (レス) id: 78d9e81099 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ユリ. | 作成日時:2021年5月6日 0時

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