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八話 ページ8

<藍月宅>

『おじゃましm』

「別に大丈夫。ま、あんたのこととか誰にも話してないし」

電話中か。
邪魔しない方が良いよな。

「大丈夫だって。Aは言わないと気付かないし」

俺の名前?

「うるせぇなぁ。好きだって言ってんだろ」

『・・・は?』

「だから、何度も言わせんなって。好きなんだよ!」

チャリンッ

床に何かが落ちる音がする。
でも、そんなのを聞いてる余裕は、俺には無かった。

気付いたら走り出していた。
踵を踏んだままの靴で、乱暴に玄関扉を開け放ち外へ走った。

「Aっ!?」

後ろから、聞き馴染んだ声がしたような気がする。
でも、そんなことはもう関係なかった。

あぁ、やっぱり決心なんてするんじゃなかった。
俺はとことん、藍月絡みの運に見放されてる。

『家、帰りたくないな』

一人暮らしの俺の家には、藍月との思い出が飾られている。
写真、土産、etc...

『...頼れって、言われたっけ』


携帯を取り出す。

通話アプリを開く。

名前を探す。

テンテンテンテンテンテン テンテンテンテテン...

《まさか当日にいきなり電話とはね。どうしたの?》

『今夜、泊めて』

《...分かった。良いよ。住所送っとくね》

『ごめん』

《良いって。気を付けてきてね》

『うん』


夜を歩く。

前が見えずらい気がする。

気のせい。

周りに見られてる気がする。

気のせい。


何も考えられなくて、ひたすら目的地まで歩く。


<白夜宅>

着いた。
ピンポーン
「いらっしゃい。とりあえず上がって」
『うん』


「はい、カフェオレ。高校時代の勘で淹れたんだけど、合ってた?」
『うん』
「そっか。さてどうしたものかな。とりあえず聞こうか。どうしたの?」
『...白夜に言われたから、考えたんだ。このまま甘え続けるのは簡単だけど、それじゃダメだって思った。だから、伝えに行こうと思って、あいつの家まで行った』
「そっか」
『入ったら、中から話し声が聞こえて来たんだ。電話だってすぐに分かった。相手は知らないけど、凄い親しげだった』
「なるほどね。それで?」
『誰にも話してないとか、俺は気付かないとか、色々言ってて。好きだって、叫んでた』
「え?」
『気付いたら走ってて、白夜のこと思い出して、電話して、今』
「...ごめん」
『白夜の所為じゃない。元からこうなる予定だったから、もういいんだ』
「好きなだけ居てくれていいから」
『...うん』

罰、当たったのかな。

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作者名:ストーリーテラー | 作成日時:2023年3月27日 22時

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