四話 ページ5
〜昼〜
<大学内・ベンチ>
『やーっと終わった...』
「お疲れ」
『藍月、お疲れ』
「何か微妙な顔してんな」
『そう?』
「そう」
『あー、朝のあれかな』
「あれ?」
『昨日言ったけど、先輩に資料渡しに行ったんだよ。そしたら先輩の知り合いが偶然通りかかってさ。先輩と俺が話してんの見て、"また口説いてんのか"って言ったんだ』
「つまりその先輩は、またって言われるほど男を口説いてるってことか」
『かなーって思っただけ』
「ふーん」
『どうしたの?』
「別に。お前は口説かれてるって思ったのか?」
『まさか。先輩は普通に良い人だよ。話しやすいし、距離も適度だし』
「お前パーソナルスペース狭いから、距離が適度ってマジで適度か分かんないんだが」
『そう?こんなもんだと思うけどなぁ』
「いーや、お前は狭いよ。マジで」
『そっか。なら、先輩もそうなんじゃない?結構俺と感覚似てる気がするし』
「...そうかよ」
『うん』
「まいいや。飯食おうぜ」
『うぃー』
「そういえばさ」
『ん?』
「結局、サークルとか部活とか、どこにも所属しないまま三年だな、お前」
『そうだね』
「入んねーの?」
『藍月みたいに人前で歌えるわけでもないし、運動できるわけでもないし、かと言って不特定多数の人と話すのが好きかと言われるとそういうわけでもないし』
「そっか」
『なんでいきなり?』
「今日からさ、俺んとこの軽音サークルにちょっとした先生みたいな人が来るらしくて」
『へー。どんな人か聞いてる?』
「ギター弾けるらしいくらいしか知らない」
『はえー。じゃあちょっと忙しくなる?』
「ギターが専門だから俺は別に。その人がいる間は、ギターとかベースの奴らに時間使うだろうし、寧ろ暇になるだろうな」
『なら遊ぼ!』
「どこで?」
『んー、藍月の家』
「代わり映えしねぇな」
『いいじゃん。一番落ち着くんだもん』
「あっそ。やべ、そろそろ授業だわ。じゃあ俺行くな」
『がんば〜』
「おう」
ギターの先生かー。
そういえば、昨日の赤い髪の人、ギターケース背負ってたような...
ま、関係ないか。
「あ、A」
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作者名:ストーリーテラー | 作成日時:2023年3月27日 22時