最終話 ページ16
こうして、俺の約十年の片思いは、とんでもない結末を迎えた。
俺が思い続けていた相手は、どうやら俺が思っていた以上にとんでもない奴で、
それを知って尚好きなままである俺も、どうやらとんでもないらしい。
あの後、帰ってきた白夜に颯爽と別れを告げた藍月は、そのまま俺を家まで持ち帰った。
ほぼ何も食べていなかったからか、抵抗する体力のなかった俺は、そのままあいつにされるがまま。
結局そのまま何日か経過し、気付けば今は...
藍「おい。今日の講義は?」
『これとこれとこれ』
藍「じゃあこの時間には終わるな。俺もそこは空いてるから、飯食うぞ」
『うん』
藍「なんだ?不満か?」
『ちがう』
藍「じゃあなんだよ」
『...お前が俺の理想過ぎて、怖い』
藍「なんだそれ」
『無理とかしてないか?俺に合わせようとしてやりたくないことしてるとか』
藍「なわけないだろ。どうした?まだ"証明"が足りないか?」
証明とは、
藍月が俺を思っていることを立証するために、俺に付けまくった赤い奴(キスマ)のことである。
服の下はもちろん、見えるところにもついているそれは、六月に入るかどうかのこの季節に隠すのが困難なレベルなのである。
『も、もう十分だ!これ以上はマジで心配されるレベルだから』
藍「...そっか」
『なんで残念そうなんだよ!』
まさか俺が止める側に回る日が来るとは!
藍「ま、それも数日したら消えちまうし、今度別のもの考えないとな」
『え?』
藍「首輪風のチョーカーとか、お前に合いそうだな」
『マジ?』
藍「嬉しそうじゃん」
『あ...と、とにかく。無理してないならいい』
藍「寧ろ、やりすぎないようにセーブしてるくらいだ。さっさと社会人になってくれりゃ、もうちょっとやれんだけどな」
『え?』
藍「お前、どうせ家でできる仕事がいいなーとか思ってんだろ?だから、な」
『あー...ちゃんと外でる仕事にしよっかな』
藍「つれねーな」
『いやー、あはは』
藍「ま、俺はどっちでもいいけどな。さて、大学行くか」
『...そだな』
何はともあれ、俺は今、相当に幸せである。
色んな人に迷惑かけたし、いろんなとこに寄り道したけど、それも今となっては笑い話にできるくらいには。
紆余曲折とは
1.遠まわりで曲がりくねっていること。
2.こみいった事情ですんなりいかずに、いろいろに変化すること。
終わり ログインすれば
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作者名:ストーリーテラー | 作成日時:2023年3月27日 22時