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私は何事かと顔だけ向いて
見る事しか出来なかった。

その目には強い意思があった。



A『全部、先輩のおかげです』


「…私?」


A『先輩があの時
演劇部の前で立っている私に
声を掛けてくれなかったら
演劇の世界には私は居なかったですし

MANKAIカンパニーという光の方に
先輩が連れてきてくれなきゃ
私はいつか紅月劇団の中で潰れていたと思います。


遅くなりましたが、お礼を言わせて下さい。
ありがとうございます』



彼女はそう言うと私に深々と頭を下げた。

まるで旅館の女将さんみたいな綺麗なお辞儀だ。

それに少し目を奪われていたが
ハッとなって口を開いた。



「ちょ、ちょ、ちょっと待って!
そんな深々と頭を下げられるようなことは
してないよ!」


A『先輩はそう思っていても
私にとってはここまでするぐらいのことは
してもらったと思っています』



そう強く彼女に言われると私は口を閉じた。
その後、彼女は続けた。



A『…私にとってMANKAIカンパニーは
大切な場所になりました。
皆との思い出が詰まった
この場所を奪わせはしません。

明日は全力で楽しんで演技をするので
先輩は私が舞台で女形として満開に咲くところを
見守っていてください』



その強い眼差しと強い意志は私の心まで伝わった。

私もまたそれに応えるように笑った。



「…うん!そうだね!明日は頑張ろう!!」


A『はい!』



私達はそう言うと笑い合った。

中学の時と同じ様に…











万『…俺達、絶対忘れられてるよな』


臣『まあまあ、もう少しで出れるだろう』


太『それにしても監督先生が
あんなに楽しそうに演技をする所
初めて見たっすよ…!』


十『ああ。俺らの前ではやらないからな』


左『見事な大根ぶりだったけどな。
…もう少ししたら顔を出すか』



なんて秋組の皆が口々に話しているなんて
私とAちゃんの耳には届いていなかった。











A『それにしても先輩に彼氏が居ないのが
不思議ですね…』


「えっ!?いきなり何で!?」


A『ずっと前から何となく思っていて。
こんな可愛い女の子を置いとくなんて
MANKAIカンパニーの皆もどうかしてますよ…』


「私は今、演劇一筋だから彼氏は良いかな?」


A『…私が男だったらな…』


「ん?今何て?」


A『いえ、何にも?それじゃあ皆呼びますか!』


「?」



それ以上は皆が来たから聞けなかった。

何だったんだろう…?

第32話 幕が上がる→←*



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玲那(プロフ) - こんばんは。こんなにも面白い作品をみたのは久々でした!もう2年も前の作品のようなのですが、新作まってます^_^ (2021年12月7日 22時) (レス) id: b0f0ab7153 (このIDを非表示/違反報告)
stick - 一言!こんなにも素晴らしい作品で!!!!!!感動しました!!ありがとうございます!!!!!! (2019年3月18日 1時) (レス) id: b65ca15ed4 (このIDを非表示/違反報告)
hoshina(プロフ) - 完結おめでとうございます!!パート1から、かなり早いペースで読み進めてしまいました(笑)主人公ちゃんを中心にストーリーもしっかりしていて、なにより公演内容が細部まで考えられていて、実際に観劇してみたくなりました(笑)続編、ゆっくりのんびり待っています!! (2018年9月20日 20時) (レス) id: 5593419b1c (このIDを非表示/違反報告)
aoiumi(プロフ) - こずめさん» こずめさんありがとうございます!!そんな嬉しいことを言ってもらえてとても嬉しいです(;_;)もう思いつく限り書いたので今読み返してもここダメだなと思うところは多々あったのですが…その言葉に救われます!頑張って書きますのでまた読んでください(^^) (2018年1月28日 22時) (レス) id: f2898633db (このIDを非表示/違反報告)
こずめ(プロフ) - 完結おめでとうございます。今日この小説を見つけてパート1からずっと読み進めてしまいました。こんなにストーリー性に富んだA3!の小説は初めて読んで、本当に素晴らしいお話で、この作品に出会えて本当に嬉しく思います。第2部のお話も楽しみ待ってます! (2018年1月28日 21時) (レス) id: 209b7a4611 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:aoiumi | 作成日時:2017年10月26日 14時

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