いつか見た夢を。ー ４ ー【A3!】

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京『失礼します』


清『おお、入れ』



そして、あの戦の後の京介と清彦のシーン。

清彦が京介に礼を言い、秋祭りの相談をしていた時
紅は？と聞かれ、今朝この城から出たことを
京介に伝える。



京『何故、止められなかったのですか！？
紅さんは俺達にとって必要なお方です！』


清『必要か。
あやつもここまで親しんで貰えて
さぞ嬉しいだろうな〜』


京『笑い事じゃありません！』


清『…なら聞くが
お前の目の前で大切な者が死んだ事はあるか？』


京『い、いえ…』


清『あやつは目の前で２人も死んだんだ。
その悲しみは誰にも分からない』


京『あの２人って…』


清『あやつの父親だ。
戦で帰ってきた父親の死体を見て
１人、影で泣いていたからな』



そう清彦が言うと京介は黙り込む。



清『私もそうだ。だから口出しは出来ん。
それに空いた穴を埋められるのは
あやつしかいない』


京『…それって、まさか！』


清『あやつの父親も
あやつの女としての幸せを望んでいた。
もう口出しする奴はいないだろう』


京『…紅さんの父親は下級武士なはずでは？』


清『幼馴染でな、主従関係が出来た後でも
よくここで碁を打っていた。
その度に紅の話を聞いていたのだ。

「男勝りな我が子にも
人並みの幸せを与えてやりたい」とな』


京『…』


清『お前の言いたい気持ちも分かるが
紅の心を埋められるのは、あやつだけだ。

紅がそれで幸せだというのなら
見守ってやろうではないか。

私らにはそれしか出来ない』



そう言って清彦は縁側を眺めた。



臣くんはふとした表情が上手くなった。

あのヴォルフを演じた後
演技への気持ちもそうだけど
どんどん役になりきろうとする努力も目に見える。

それが今回の清彦にも出ていて
清彦らしい少しどこか緩い所や
真面目な話の時の周りの空気を締める感じなど
臣くんが思う清彦が演じられていて
観客がまた臣くんに見入る。



清『…今年も見事だな』


京『…はい』



縁側には綺麗な紅葉が色付き
２人はそれをどこか嬉しそうに
また寂しそうに見つめていた。

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