28(jr×kym) ページ30
【tig side】
俺は海辺の石段に腰掛け、ぼんやりとギターを鳴らす。
こーちと北斗のキスを目の前で見てから。
俺はなんとなく、あの店に行きにくくなった。
夕日が沈んでいくのをただ眺めていると、近くで甘ったるい匂いがふわりと香った。
樹「……きょも、」
ああ、やっぱりこいつか。
俺が振り向くと、チャラいバイトはふにゃりと笑う。
樹「ねー……俺の言ったこと、真に受けちゃったの？それとも〜……こーちに会いづらくなったみたいな感じ？」
はぁ…………相変わらず腹立つな。
大「黙れ」
樹「もー……そんなに強がらないでよ。こーちの背中押しちゃったりしてさ……辛かったんでしょ。俺が甘やかしてあげるよ？」
大「…………………だったら、」
俺はそいつの胸ぐらを掴んで、首元の匂いをスンスンと嗅ぐ。
「なっ…なに！」と動揺している彼の耳に付いたピアスを、今度はカプリと口に含んだ。
樹「ねぇっ………何してんの…………？」
大「この……甘ったるい香水とチャラいピアス、やめろ。全然俺の好みじゃない」
…………なんで、こんな言い方しか出来ないんだ、俺は。『俺以外の女にモテようとするな』って、本当は言いたいのに。
俺の言葉にそいつはいつもの笑みを浮かべる。
樹「……やだ。だってこれなかったら、俺の個性消えちゃうもん。好きなカッコしてる俺を、きょもに好きになって欲しいもん」
………個性…………………か。
俺の個性……………女っぽい顔。
この顔のせいで、昔からいじめの対象になることが多かった。大学でも餌食になりかけたけど、こーちが普通に接してくれて、友達になってくれたから。いじめられることはなかった。
自分を守る術として、こうして高圧的な話し方しか出来なくなってしまった俺にも、彼は優しくて。俺は一瞬で好きになってしまったんだ。
……………おいバイト。お前の目には、俺がどんな風に映ってるんだ？こんなに素直になれない俺の心に、どうして土足でいつも突っ込んでくるんだ…？
樹「…………かぁいいね。もっとそんな風に、素の表情俺に見せてよ」
大「はっ………………？」
樹「少しずつでいいから。俺に甘えてごらん」
そいつのデロデロに甘い声と匂い。いつもはイライラするのに、今は素直に甘えてみようかな、なんて。
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ななみや(プロフ) - ぽむさん» ぽむさん、コメントありがとうございます！jsくんもこれから追い上げてくる予感です…！今後も暖かい目で見守って頂けると嬉しいです！ (2022年9月22日 22時) (
レス) id: 79361d6db2 (このIDを非表示/違反報告)
ぽむ(プロフ) - まさかの展開すぎて驚いてます！そんな繋がりがあったなんて！！今後どうなっていくのか気になりすぎます(∝'∽'∝) (2022年9月22日 21時) (レス) id: 6e0ba5629e (このIDを非表示/違反報告)
ななみや(プロフ) - すずめさん» すずめさん、とっても嬉しいお言葉ありがとうございます(;_;)更新頑張りますね、楽しんで頂けますように…！！ (2022年9月7日 22時) (レス) id: 79361d6db2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ななみや | 作成日時：2022年9月6日 21時
