この想いが届くとき (ページ22)

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第22話ページ22

数年前

私は1人外を歩いていた。

こんななりだし、男に襲われても逃げ切れる自信しかない。

その日は雨だった。
たまたま自販機の前でタバコを吸うアゲハさんに声をかけた。

茉那果｢アゲハさん、お疲れ様です｣

アゲハ｢茉那果、おつかれ。｣

彼女はすごく美人で私たち白蓮のことも気にかけてくれる素敵な女性だった。
妹の蘭子は私と同い年で、でもちゃんと生活していてその辺にいる女の子と変わらない。たまに羨ましいと思う。

アゲハ｢蘭子のヤツ、茉那果、茉那果って確実に崇拝者だな｣

笑いながら私の前を歩く彼女に私はどうしても疑問でしかなかった。
アゲハさん、もとい鈴蘭さんは婚約者ができたらしい。こんなに荒れてても家族で結婚を手放しに喜んでくれたととても幸せそうだった。

なのに、彼女は黒蝶であることをやめなかったのだから、私には疑問でしかない。

アゲハ｢なんでやめないのって？｣

茉那果｢へ？｣

アゲハ｢わかりやすいね、顔に書いてあるわよ｣

そう言うと彼女はベンチに腰掛けタバコの煙を吐き出した。

アゲハ｢私がいなくなっていいのは、あの子達がちゃんと自分の足で立てるようになってから。じゃないと心配で新婚生活楽しめないじゃん。｣

本当に好きなんだ。みんなのことが。

アゲハ｢なんてね、本当は私がまだみんなと一緒にいたいだけ。清仁にもワガママ言って、ただ大好きなものを何も手離したくないだけ。｣

そのすぐあとだった。

彼女が命を落としたのは