ゆびさし空 3rd zone

☆ ページ10

【上がるぞーー！】




大きな声。

その誰かの叫び声が聞こえた瞬間








ヒュ―ーードーーーーン！！









花火が夜空に打ちあがった。


心臓に響くような、大きな音。







―ードドン！ドン！ドン！






次々と息をつく暇もないほどに、夜空いっぱいに花火が咲いた。









―――バクバクバクバク！




皆が綺麗やねって興奮しながら、夜空に目を向けているのに。







壱「綺麗やね！なぁA！……A？」





顔をしかめ、息を荒くする私に壱馬が心配したように顔を覗き込む。






すごい勢いで動き始めた心臓。

嫌な感じがする動悸。





花火が打ちあがる度に、嫌なものに追い詰められているような感覚に陥る。









……こ、ここにいちゃダメや。

この前といい、今日といい。







大きな音が鳴り響くと、心臓が激しく動き出して気持ち悪い。








『ご、ごめん………壱馬……っ』







この場にいることが耐え切れず、繋いでいた手を放して、

私は人ごみの中を走った。

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