ゆびさし空 3rd zone

―時、止まりしぞら― ページ5

蝉の鳴き声がうるさい午後四時。







８月の初め。








『こんなもんかね…。』

今、どういう状況かって言うと…。





壱馬から誘われた花火大会に行く準備中ってとこかな。





光莉さんに花火大会に行くと伝えたら、

浴衣を用意してくれた。




着付けは光莉さんがしてくれて、

自分で、髪の毛をセットした。








壱馬にLINEで、お誘いの返事をすると、

てげ喜んでくれた。







LINEで、

【花火大会、行く。】




って短文送ったら、秒で既読したのか、

速攻で電話がかかってきた。




「マジ？ほんとのほんと？
今日は、エープリルフールやないよな？」



って、４月はとっくの昔に通り過ぎてんのに、

信じられなかったのかエープリルフールの単語が出てきて、

おったまげたっけ。









北ちゃんはというと……

やっぱり、美海ちゃんと行くみたい。


LINEでさりげなく聞いてみた。






【北ちゃんは、花火大会行くと？】


って送ったら、






【美海が２人で行かな！って言うかい、行かんといかん…。】


って返ってきた。





分かり切ってたけど、ちょっとショックだった。








でも、今日は、壱馬と過ごす日だ。

うまくいけば、壱馬のことを考えるいいきっかけになる。


意地でも、北ちゃんのことは考えないどこ！









光「Aちゃん！
そろそろ、行かんとやない？
友達、待たせたらいかんよ！」









やばい！

もう４時半じゃん！


壱馬との待ち合わせ時間は５時。








『行ってきます！』


光「はーい！
帰り、遅くならんとよ――！」


『はーい。』






家を飛び出して、待ち合わせの想い出の丘を目指す。




どうか、今日、ばったり北ちゃんと美海ちゃんに会いませんように。

北ちゃんのことは今日は、考えないようにしたいから。

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