検索窓
今日:8 hit、昨日:3 hit、合計:60,694 hit

―奇跡ぞら― ページ19

昔の話。




私と北ちゃんは一度だけ大げんかをしたことがある。

三日間口を利かなかった。


理由は今でもはっきりしてる。





あの日は、ちょうどバレンタインデーの日だった。




放課後。

いつも一緒に過ごしていた北ちゃんが私に会ってすぐ、





北「A聞いて!
チョコもらったっちゃが!同じクラスの姫ちゃんに!
手作りやって〜!
すごいと思わん?」





その時、私たちは同じクラスじゃなかったことから、

帰りの会が終わったら、校庭の片隅に集合だった。




そんな中で、先に待っていた私に、北ちゃんが駆け寄ってきながら、

そんなことを言った。




実は、前日にお母さんと一緒に私自身も北ちゃんだけにチョコを作っていた。




だから、会ってすぐにそんなことを言われてショックだった。

それと同時に、「姫ちゃんって誰?」「北ちゃんのこと好きなん?」ってイラつきもした。









可愛いハート型の箱を開けて、

中のチョコを見ながら、目を輝かせている北ちゃん。




……なんなん、私だって作ったし!

まだ渡せとらんけど…。






渡すって決めたんだもん。渡し…たい。






北「うま!てげおいしっちゃけどーー!」





ふと、その北ちゃんの言葉に自分の作ったチョコの箱に伸ばしていた手を止めた。




…え?


そう思って、北ちゃんを見ると。

北ちゃんは可愛いラッピングを外し、チョコを頬張っていた。






ああーーー!食べとるしーー!





嬉しそうに食べる北ちゃんに心底傷ついた。


悔しい……。

こんなに近くにいるのに、ほかの子に先越された。







北「Aも食べる?
お店のみたいやよ!
食べてん!はい!」


『いらん。』


北「いいかい!食べてんて!」


『食べんて言っちょうがね!もう!!』







その時、北ちゃんと強くおしてしまった。



バランスを崩した北ちゃんは、もらったチョコの箱を落とし、

チョコを地面にばらまいてしまった。






北「なんすっとよ!!」


『北ちゃんなんか知らん!ばか!
もう帰る!』






悲しそうな顔の北ちゃんを置いて、

一度も止まらず、学校から家まで猛ダッシュした。






……私は悪くないもん。







北ちゃんが悪いとよ。鈍感さんやから!






何度も『私は悪くない』って呪文を唱えるように繰り返した。

そして、初めてのけんかに泣いた。

☆→←☆



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (72 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
320人がお気に入り
設定タグ:therampage , 吉野北人 , 川村壱馬   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

まいぽん(プロフ) - めっちゃ感動して号泣です!めっちゃ面白かったです! (2020年3月12日 1時) (レス) id: 0b1b1da15f (このIDを非表示/違反報告)
ほくとすきぴ - 逆に続きがきになります。爆笑今日1日で全部読みました笑いちから!笑 (2019年8月15日 22時) (レス) id: cb30df2db6 (このIDを非表示/違反報告)
ほくとすきぴ - 星川ですよよ笑笑 (2019年8月15日 14時) (レス) id: cb30df2db6 (このIDを非表示/違反報告)
にんじん(プロフ) - ゆめゆめ。さん» ありがとうございます!!!!!!!楽しみにしてますね! (2019年8月7日 9時) (レス) id: 7a1492e132 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめゆめ。(プロフ) - にんじんさん» お話作ってみました!1話しか更新していませんが、健太mainなので是非見てみてください! (2019年8月7日 9時) (レス) id: 17630666f1 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ゆめゆめ。 | 作成日時:2019年4月9日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。