☆ ページ46
北ちゃんの存在だけが生きる希望だった。
でも、ダメだよね。
恋なんてしちゃ。
神様も言ってるはずだよ。ダメだよって。
私は恋する資格なんてない。
人を殺めてしまった過去があるから。
この過去は一生消えないから。
北「隣、座らんの?」
ぼーっとしていた私に言ってくれた優しい言葉。
『う、うん…、ありがと。』
北「うん」
遠慮がちにベンチに座ってみる。
こうしてみると、8年前のあの日も思い出す。
私が引っ越しをする前日。
北ちゃんの手術の前日。
北ちゃんが病院を脱走して…
私の家に来て、散歩に誘ってくれて。
「お月様になりたい」
なんて北ちゃんがほざいた日。
ベンチに座ったら分かる北ちゃんの成長。
幼い頃は、ベンチに座って足を伸ばせば。
私の方が足が長かった。
それが、今じゃ。
北ちゃんの方が長いんだ。
それだけの事なのに、
時の流れを感じる。
北「こん前は、その…、冷たい態度とってごめん」
『…え?、あ、うん。大丈夫だよ』
北「ずっと、謝りたくてタイミング探してたんやけど…
結局、今や。
ほんと、ごめん」
隣で、中央に眉を寄せて謝る北ちゃんにドキマギした。
…気にしてくれっとったんや。
『手術、成功したんやね』
北「うん、まぁね。」
生きてないんじゃないかて思ってしまった時もあったから、
こうやって、
話せているのが。
会えることが。
素直に嬉しい。
北「もう、Aには会えんと思っとった」
『・・・』
北「だから…
こうやって、会えとることが、すっごい嬉しい」
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作者名:ゆめゆめ。 | 作成日時:2018年10月14日 10時