ゆびさし空 1st zone

☆ ページ29

父「うっせーんだよ！
さっさと、酒と金、もってこいよ‼」


『や、やめてよ……っ』





再婚してできたお父さん。







毎日、酒に溺れてはお母さんに暴力を振るう人だった。





ろくに仕事もせず、昼間から酒、煙草、パチンコととにかく、お金を使う。






止めるように指摘すれば、それは、それで…





暴力の嵐。









毎日毎日、暴力を振るう・それを受ける






そんなお父さんとお母さんの行為をただ、





マンションの家の隅っこで膝を抱えて泣きながら見た。









やめてよ、お母さんに手、出さんで…。

怖いよ。北ちゃん、助けてよ…。








激しい怒号と、暴れまわる音。









目をつぶって耳を塞いで、









それでも、聞こえてくる音。









お母さんを庇えば、次は私。







それが幼いながらに分かっていたから、







何もすることができなかった。









…怖くて、殴られたくなくて、動けなかった。









私はすごく、泣き虫で弱虫で。



北ちゃんの名前を心の奥底で叫び続けるしかなかった。









それでも、4年もしたら、お父さんは他の女をつくって家を出て行った。









これで、お母さんの戸籍に２つ目のバツ。









母「A、ほんとにごめん。
お母さんが全部いかんと。」

『そ、そんなことないかい‼
元気出して？
これからは…2人で暮らしていけばいいがね⁈』









意気消沈した母を励ましながら、それからはずっと2人で生きてきた。









＿生きようと、していた。

☆→←☆

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す