【文スト】急にトリップして護る事になったんですけど、一寸説明下さい。

やっばい。生太宰だ！((語彙力) ページ29

｢待て！｣

追われる影と追う影と。

横浜の街を駆けてゆく三つの影と一つの陰。

それらは喧騒を押し退け路地裏へと消えてゆく。

｢遅れるな新入り！｣

追っている影の一つが、もう1人に走り乍叫んだ。

｢一寸待って国木田くん。靴紐ほどけた｣

｢知らん！疾く来い！｣

国木田と呼ばれた影と新入りと呼ばれた影＿＿太宰が追っているのはちんけなこそ泥だ。宝飾店で騒ぎを起こし、商品を奪って逃げる。被害が3件も続き、探偵社は商店街から捕縛の依頼を受けていたのだ。

そんな彼等を追う陰＿＿即ち私は、只今全力で動画を撮らせて頂いております。走り乍って結構キツイ。

太宰が靴紐を結ぶ間に、こそ泥は垣根の並ぶ狭い住宅地へと消えてゆく。

｢見ろ太宰！お前がとろとろ走るせいで、面倒な処に逃げられた！｣

｢いいじゃない、計画通りだよ。ねぇそれより先刻すごいものを見つけたんだけど、知りたい？｣

｢後にしろ！｣

｢実は『完全ｼﾞｻﾂ読本』と云ってね、凄い稀覯本だよ。ずっと探していたのだけれど、古本屋の軒先にあるのを見附けちゃって＿＿ああ、早く戻らないと購われちゃうなぁ｣

一言突っ込ませてほしい。貴方それ15の時に持ってましたよねぇ？と。……あ、2年地下に潜る時にそれも手放してしまったのか。成程理解。

｢火事だぁ！｣

!?もうそこ迄いったのか！……あ、大丈夫だ。録画してる。

忽ち犯人の逃亡経路の前に慌てた住人達が飛び出してきた。

前も後ろも人で溢れて犯人は動くことができなくなる。

｢『独歩吟客』＿＿！｣

国木田の異能力で手帳の頁が鉄線銃に変わる。

引金を引かれた鉄線銃は尾を曳きながら標的へと向かい、逃亡犯が振りかざそうとした拳銃をはじき飛ばし、更に逃亡犯の袖を貫通して背後の壁に縫い止める。

｢大的中｣

太宰が下手な口笛を吹いた。

そして、ちらりとこちらを見やった。

どうやら、尾行していた事が既にバレていたらしい。

一瞬、此方を見たその目は、黒の時代そのものだった。


*****

長らく更新せずにすみませんでした。

ようやっと入社試験を手に入れたので、ちまちま更新を再開しようと思います。

久しぶりに書いたので文体が変わっている？のは気にしないで下さい。

多幸茸→←太宰さんの入社試験はリアルで見たいんだよ！

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