再びアイナナの世界にトリップしました。 (ページ26)

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一織の誕生日２ページ26

仕事も終わり、一織が言った場所へと向かうと、すでに一織は私を待っていたようだ。

真剣な顔で何かを読んでいる。

「一織！おまたせ。」

私が近づきながらそう言うと、一織は読んでいた本をカバンにしまった。

一「では、行きましょうか。」

そう言うと、一織はすたすたとデパートの中に入ってしまう。

「えっ、ちょ、ちょっと待って！」

慌てて後を追い、一織の隣に並んで歩く。

「そういえば、何が欲しいの？」

一「ざっと言えば筆記用具ですかね。」

「・・・クールでシャープな？」

一「・・・まあ、そうですね。」

一織は少し複雑な顔で私の隣を歩く。

エレベーターに乗り、降りると、一織は本屋さんへと向かった。

「でも、筆記用具なんかでいいの？誕生日プレゼントなのに・・・。」

「もっと贅沢言ってもいいんだよ？」

一「いいんですよ。」

一織は目的のコーナーに着くと、背表紙を指でなぞり、目的の本を探し始めた。

ここは・・・大学受験のための参考書がたくさん置かれているコーナーだ。

「一織、大学受験するの？」

一「はい。２月にセンターなので。今使っている参考書は最後まで読み終わってしまいましたから、丁度新しいのが欲しいと思っていたんです。」

そう言うと、目的の本が見つかったのか、その本を２冊出した。

「・・・？なんで二冊？」

一「四葉さんも受験するので。」

「・・・えええ！？」

真顔で衝撃的発言をする一織。こんなの知らないぞ私。

そうだ、よく考えれば、時は流れるのだから年だって取るに決まっている。

ゲームの方じゃ高校生のままだったからなぁ・・・。

でも確かに、一部の時から何か頑張っていたのは知っていたけど、もしかしてこれの事だったのかな。

その後は、他の参考書やノートを数冊買い、レジに並ぶ。

これは凄い額になりそうだ。

帰り道。私たちは二人並んで寮へと戻っていた。

「なんで大学を受験しようとしてるの？」

一「・・・IDOLiSH8の為です。」

一「私は皆さんをもっと高い所へ連れて行ってあげたい。その為にはもっと勉強しなきゃいけないんです。」

そう言う一織の顔は真剣そのものだった。

普段は高校生をしていて、アイドルもしてて、裏で皆の事を支えて、さらには受験勉強か。

私だったらきっと出来ないな。

「一織、受験勉強。頑張ってね。」

一「・・・はい。」

一織は、私の目を見ながら、綺麗な笑顔でそう返事をした。