再びアイナナの世界にトリップしました。 (ページ24)

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提案２ページ24

ディレクター「それでは、リハーサルお願いします！」

ディレクターの合図で、私たちはカメラの前へとスタンバイをする。

陸はというと、先程の天の言葉が重く心にのしかかっているのか、不安そうな表情を浮かべている。

私は頭の中でこの後何が起こるのかを必死に思い出していた。

「・・・っ。」

頭の中にある記憶の引き出しを探すも、なかなか思い出すことが出来ない。

それもそうだ。私にとってこのあたりのお話は随分前に見た話。

当時も忙しくて１部の時よりも細かく把握できていなかった。

分かっていれば何か出来ていたかもしれない。だがそれが出来ないもどかしさに、怒りを感じつつ、だんだんと呼吸が荒くなってきた陸に声をかける。

「陸、平気？少し休む？」

七「・・・っ、だい、丈夫・・・！」

ディレクター「陸くん、具合悪そうだけど大丈夫？カメリハだから、休んででもいいよ。」

七「で、でもっ・・・。」

「ディレクターさんもこう言ってるし、少し休もう。本番も踊らなくちゃいけないんだから、体力温存しとかないと。」

そう説得すると、陸は悔しそうな顔をしながら、ステージから降り紡のいるベンチへと向かった。

ディレクター「じゃあそこの君！陸くんのポジションに立っていてくれないかな。踊りもなしで行こう。」

ディレクターは側にいたADにそう伝えると、ADの人は返事をしてステージへと上がる。

その時だった。

九「ボクが入ります。」

「・・・え？」

ニ「九条が！？」

突然スタジオ内に入って来た天にこの場にいる人全員が注目する。

九「リハは僕たちだけに与えられたものじゃない。踊るのと踊らないのじゃカメラの動きも違う。本番通りやらないと意味ないでしょ。」

天のその正論に誰も反論などしない。

ディレクター「九条さん、本当にいいんですか？」

九「構いません。」

天はそう言いながら、私の横に移動してくる。

一「・・・踊れるんですか？」

九「誰に聞いてるの？」

その後は予定通りリハーサルが行われた。

天は私たちの振り付け、歌詞を完璧にマスターしていて、その場のスタッフの視線を奪うのだった。

そしてスタジオの出入り口で、九条天ではない誰かを見つめる女が一人。

彼女は頬を赤くしながらこうつぶやいた。

女「かっこいい・・・。」