再びアイナナの世界にトリップしました。 (ページ1)

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プロローグページ1

午後十時。

都内にある、とある養成所のレッスン場で、音楽に合わせてステップをとる女性がいた。

彼女のコーチである加藤は、いつまでも練習をしている彼女の元へ向かい、声をかける。

加「A。」

「・・・ん？あ、どうしたの？」

加「どうしたの？じゃないでしょ。今、何時？」

「・・・え・・・。」

Aは壁に掛けてある時計を見る。

「十時！？」

時計をみて驚くAを見た加藤は、ため息を吐く。

加「どんだけ集中してたのさ・・・。」

「あ・・・あはは・・・。」

加「明日オーディションがあって練習したい気持ちは分かるけど、もう閉めるわよ。ココ。ほら、早く支度して。」

「わかった・・・。」

Aはしぶしぶと、荷物をまとめレッスン場から出て行こうとする。

加「A。」

「なに？」

加「あなたならきっと採用されるわ。あのプロダクションの社長にスカウトされるくらいなのよ。自信もって。」

「・・・ありがとう。」

「ふぁ～、ねみぃ～。」

あくびをしながら、家の中に入る。

明日、ミュージカルを主に活動とするプロダクションのオーディションがある。

なんで私がミュージカルを目指そうと思ったのかだけど・・・。

この世界に帰って来て、私はどうしても、少しでも皆に近い存在でいたい。そう思った。

そこで、この世界でもアイドルやろうかなって思ったんだけど・・・。

正直、あのメンバー以外と組むのは嫌だった。最高の思い出を作るのは、彼らとだけでいい。

じゃあ一人で？って思ったんだけど・・・。メンバーと歌って踊る楽しさを知った私には、出来そうになかった。

・・・めんどくさいな私。

そこで出会ったのが、友人に誘われて見に行ったミュージカルだった。

私はそのミュージカルのすべてに目を奪われた。

それから、ミュージカル女優になりたいって、そう思ったの。

歌も演技も、舞台の上だって、あっちの世界と変わらない。

(演技はドラマ出演してたしね。)

アイドルではないけれど、ここでなら皆と近い存在でいられる。私が立つべき場所はここなんだって、直感でそう思えた。