それぞれの幸せ ページ8
なんか2人で話し始めて
徹と私は蚊帳の外状態になった。
徹は私が起きていることを知らずに
隣に座って私の背中をとんとん叩いている。
京治とはじめは私たちに背を向けて話している。
なんか自分の話されるのもな、と思い
徹に部屋から連れ出してもらおうと考えた。
背中を叩く手を掴み、起き上がる。
及川｢おっ、｣
何か言いかけたところで口を塞ぐ。
小声で外に出してもらうように言うと
徹は頷いて私を持ち上げた。
岩泉｢おい、どうした。｣
咄嗟に目を閉じて寝たふりをする。
及川｢Aちゃんの話してるから起きた時恥ずかしいかな〜って思って。｣
岩泉｢そうか…気ぃつけてな。｣
及川｢はいはーい｣
そそくさと部屋を出たのを確認して目を開ける。
｢ありがとう、｣
及川｢いーえ、どういたしまして。｣
｢軽々と持ち上げてるけど重くない？｣
及川｢全然。むしろ軽いくらいだね。｣
徹に下ろしてもらい、軽く伸びをする。
｢よく女の子持ち上げるでしょ？｣
及川｢嫌だなあ、お姫様抱っこはAちゃんだけだよ｣
｢へぇ…そっか。｣
部屋の前で話すのも少し変だと思い、
少し歩くことにした。
及川｢ねえ、Aちゃんはさ、
赤葦くんとなんで付き合ったの？？｣
｢うーん、告白されたから？｣
及川｢え、それだけ？｣
｢マネの先輩に誘われてマネになったんだけど、
誘われる前に1度練習見たことあって、その時に凄い綺麗なトスを上げてる所見て、なんか好きだなあって。｣
及川｢そっか。｣
｢京治は私に欠けてる部分を補ってくれてる。
だからこうやって今、徹に自信を持って言える。｣
及川｢Aちゃんが幸せなら俺はいいと思うよ。
本当はちょっと悔しいけどね、｣
そう言ってヘラヘラ笑う徹が寂しそうに見えた。
｢徹、｣
及川｢なあに、Aちゃん｣
｢ありがとう｣
何故だか辛い。悲しい。
泣いているのがバレないように
徹に抱きついた。
及川｢うん｣
｢ごめん、｣
及川｢Aちゃんは相変わらずだね。｣
そう言った後、徹はしばらく何も言わず
背中を優しく叩いてくれた。
きっと泣いてるのはバレてる。
及川｢これ赤葦くんが見たらなんて言うかな…｣
｢そんなこと心配しなくていいの。｣
そう言ってぐりぐりとお腹に頭を押し付ける。
及川｢ちょ…いた…っ、え、痛い！！｣
咄嗟に引き剥がされ、徹と目が合う。
｢また、話聞いてくれる？｣
及川｢もちろん。｣
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作者名：まなか | 作者ホームページ：http://mana_no_syo_settu
作成日時：2019年4月20日 0時
