最近寒いですね ページ28
赤葦｢何であの時気づかなかったんだろうって。
Aに辛い思いさせてごめん。｣
京治は私に頭を下げた。
｢本当に、浮気したの…？｣
それだけは聞きたかった。どうしても。
赤葦｢それは…部屋で話すよ。｣
頭を上げて、少し悩んだ後、彼は先に歩いていった
部屋までの道のりは、2人とも何も言わなかった。
部屋のドアを開けて、私を先に入れた京治は
深く深呼吸をした。
赤葦｢多分言ってなかったと思うけど、
俺、部活ない日はプールサイドで読書してるんだ｣
何故か自然と2人とも正座で座った。
｢光太郎との自主練は？｣
赤葦｢木兎さんのクラス、ホームルーム遅いから。
木兎さんの叫び声が聞こえるまでの20分間だけ。｣
｢それで、その読書がどうしたの？｣
赤葦｢ある日そこに珍しく先客が居て。
まあ、飛び込み台に座ってたし、俺は奥の方で
いつも読書してるからいいかなって思って
プールサイドに入ったらさ、
その子びっくりしてプールに落ちたの。｣
｢え、水入ってるよね。｣
赤葦｢うん。で、制服びしょ濡れになっちゃって、
俺のせいだったし、ジャージ貸した。｣
｢え、それだけ？
じゃあまた会ってくださいって何だったの…？｣
赤葦｢その日、その子が振られた日で、
プールに落ちたし、今日はいい事ない、って
わんわん泣いてたから、話聞いてあげただけ。
元気出た、また会ってくださいって
その時も言われたから多分それ。｣
｢ごめん…光太郎に殴られた所痛かったよね…｣
少し青アザになってる箇所にそっと触れる。
赤葦｢Aの辛さに比べたら軽いよ。
俺こそごめん。半年くらい前の話が
このタイミングで来るとは思ってなかったけど｣
｢疑ってごめん…｣
赤葦｢家に来て抱きつかれたのはびっくりしたけど
俺の事嫌いだって言われたら、
今日別れようと思ってた。
でも、Aが話聞いてくれて良かった。｣
｢話くらい聞くよ、｣
赤葦｢昨日、あの後Aに1度も会えなくて
本当は寂しかった。｣
腕を引かれ、京治に抱きしめられる。
｢ごめん、私京治と向き合おうとしなかった｣
赤葦｢いいよ、…ねえ、A？｣
｢なに？｣
赤葦｢Aの事まだ好きでいていい？｣
｢私、京治のこと好きだよ？｣
赤葦｢よかった…｣
肩に湿っぽい感覚がある。
｢京治、｣
赤葦｢ん？｣
｢髪びしょびしょ｣
赤葦｢あー、ごめん。そこまで余裕なかった…｣
｢風邪ひくよ｣
赤葦｢じゃあA、乾かして。｣
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 4人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：まなか | 作者ホームページ：http://mana_no_syo_settu
作成日時：2019年4月20日 0時
