ご好意 ページ2
黒尾「本当に、行くのか?」
なんだかんだで黒尾さんは
京治の居場所を教えてくれた。
「…本当は怖いし行かない方が私のためだと思います。でも、今の私には京治しかいないので…。」
ごめんなさい、と頭を下げると黒尾さんは
少しため息をついた。
黒尾「自分でそう思ったなら正解だな。
行ってきな、何かあったら連絡して。」
そう言って黒尾さんは
LINEのQRコードを私に見せた。
私はそれを読み取って追加すると、
頭をくしゃりと撫でられた。
「ごめんなさい、」
黒尾さんのご好意を裏切ってしまった。
黒尾「悪いけど、俺、謝られるの好きじゃないから
ありがとうって言って欲しいな。」
「…ありがとうございます。」
黒尾「ん、気をつけて。」
ぺこり、と一礼をして体育館裏までの道を歩いた。
不安と彼に会いたい気持ちで
心が苦しくなるのがわかる。
余計なことは何も思わないように、
ただ廊下を歩いていると、
途中で人影が見えた。
よく見ると、座っているようだ。
近づいてみるとその人は振り返った。
月島「あぁ、ちょうどいい所に…
ほら、迎えきましたよ。」
「月島くん?どうしたの…」
月島くんで隠れて全然見えてなかったが、
もう一人いたらしい。
確かに1人にしては不自然な座り方だった。
そっと横を見ると、京治の姿があった。
正確には、怪我を負った京治の姿が。
「…どうしたの」
赤葦「殴られた。」
月島「暑かったんで体育館のドア開けたら、
赤葦さんが倒れてたんで、とりあえず起こしました。」
「月島くんごめんね、迷惑かけて。」
月島「いえ、Aさんが来てくれたので僕はこれで。…赤葦さん、お大事に。」
赤葦「ありがとう、」
そう言って月島くんは
さっさと体育館に行ってしまった。
赤葦「…ごめん、」
「何で謝るの?」
赤葦「心配させたの、分かってるから…」
「何で、何も言わないで行っちゃったの?」
赤葦「ごめん、」
「待ってたけど、待てなかった」
赤葦「ごめん、」
殴られたであろう箇所に触れると
京治は少し顔を歪める。
「小学生みたい、」
そう言って笑う私を見て、彼は目を丸くした。
「なあに、その顔は。」
赤葦「いや、怒ると思ってたから…」
「怒るのはまた後で。というより、
光太郎に怒られるんじゃない?」
赤葦「それは否定出来ないな、笑」
少し弱った様に笑う彼。
「手当てするから保健室行こ。」
立ち上がって手を差し出す。
赤葦「…お願いします。」
彼は私の手を握って立ち上がった。
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作者名:まなか | 作者ホームページ:http://mana_no_syo_settu
作成日時:2019年4月20日 0時