放物線軌道 (ページ47)

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胸につかえるものページ47

A｢京治～｣
扉の向こうにいる京治を呼ぶ。

赤葦｢どうしたの｣
A｢京治の荷物どこ～？｣

赤葦｢ロッカーの中だった…｣
部室に入って来て、ロッカーを漁る。

赤葦｢はい、これ着て。
…木兎さんのやつはここに入れといて｣
と京治の荷物を指さす。

A｢うん、わかった。｣
赤葦｢じゃあ、日向のスパイク練相手してくるから｣
A｢着替えたらすぐ行くね。｣
赤葦｢待ってる。｣
京治は微笑んで部室を出ていった。

とりあえず着替えることにした。

A｢うわあ…すっごい幸せ…｣
Tシャツを着た瞬間、
京治の匂いが私を包み込んだ。

やわらかくて、優しい匂い。

嬉しくてつい微笑む。

京治も待ってる事だし、練習行かないと。

京治の荷物に光太郎のTシャツを
綺麗にたたんで入れた、その時。

A｢なんだろう、これ。｣
部誌の間に挟まってたプリントが目に止まった。

挟まってるページを開き、プリントに目を通す。

A｢なにこれ…｣
〝進路希望調査〟と〝留学の手引き〟の
2枚のプリントが入っていた。

京治、留学するのかな。
少しだけ不安になる。

京治と離れたくない気持ちが強くて、
今の状況では受け止めきれない。

静かに部誌にプリントをはさみ、元に戻す。

とりあえず、練習が終わったら
光太郎に聞いてみよう。

あの話は嘘だったのかな。

日向｢Aさん…？着替え終わりました？？｣
扉の向こうから日向くんの声が聞こえる。

A｢あっ…うん！着替え終わったよ！｣
扉が開いて日向くんが入ってきた。

日向｢あの、赤葦さんのこと取ってごめんなさい
Aさんが赤葦さんの彼女だって知らなくて…
だから、許してください！｣
A｢え？｣
日向｢赤葦さんがさっき教えてくれて…
俺の彼女だからあまり不安にさせないでね、って｣

言動が京治らしくて思わず頬が緩む。

A｢あははっ、なにそれ。笑｣
日向｢赤葦さんのこともう取らないので！
許してもらえますか！？｣
A｢日向くんより京治のこと
毎日独占してる人いるでしょ？
その人に比べたら全然でしょ？｣

日向｢あっ…えと、木兎さん？ですか？｣
A｢そう。あの人で慣れてるし
会いたくなったらいつでも会えるし。
好きな時に好きなだけ京治と練習しな。｣
日向｢えっ、いいんですか！？｣

日向くんは目を輝かせる。
嬉しそうにする日向くんを見て私も嬉しくなった。