放物線軌道 (ページ46)

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そういえばページ46

キュッ、とシューズの心地よい音が聞こえて
居残り練習しているであろう体育館を覗いた。

日向｢すげえ！！｣
日向くんが目を輝かせて見つめているのは
光太郎…ではなく京治。

あれ、今日は光太郎いないんだ。

赤葦｢日向も木兎さんと同じで打点が高いから
俺としては打たせやすい｣
日向｢木兎さんってどうやって練習したら
ストレート打てるようになりましたか！｣
赤葦｢とりあえず真下に打つことを意識して…｣

京治はああいう所がしっかりしているので
個人的にとても助かる。

｢あの、入らないんですか？｣
真後ろから声をかけられ、
ビクッと体が反応してしまった。

A｢あ、入ります…烏野の一年生…？｣
｢どうも、月島です。
日向と同じポジションやってます。
朝は日向と影山に気を取られてて
気づかなかったと思うので別にいいです｣
少し拗ねたような感じの態度。

A｢あ、ごめんね。
AAです。よろしくね。｣
月島｢お願いします。｣
そう言うとさっさと体育館に入って行った。

日向｢あ！A先輩！！｣
流石に気付かれてしまったようで。

A｢遅くなってごめんね、｣
そう言って体育館に入る。

日向｢あ、えっと、ありがとうございました｣
少し名残惜しそうにボールを京治に手渡した。

A｢バレー好きなんだね。｣
日向｢ずっと見てたんです、体育館の隅から。｣
A｢体育館の隅から？｣
日向｢中学の頃、男子バレー部無くて。
ちゃんとした練習とか試合とか、
そういうのがなくて。
体育館の隅っこ借りて1人で練習してたんです。
そこから見る女バレのプレーが羨ましくて。｣
A｢そう、なんだ…｣
日向｢だから今すごく楽しいです。
赤葦さんは木兎さんの練習相手だから
普段トス上げてもらえなくて…｣
赤葦｢なかなか上げてやれなくてごめん。笑｣
日向｢いえ！今挙げてもらっただけで
すごい幸せです！
…ところでAさん、
木兎さんとお揃いのTシャツですね！！｣
A｢えっ、｣

そういえば、さっき借りて…

赤葦｢A｣
さっきまで穏やかだった彼の顔が豹変した。

A｢ごめんなさ…癖で…！｣
赤葦｢はぁ…もう、俺の着てきて。｣
そういうなりジャージを掛けられた。

A｢え、いいよ、｣
赤葦｢俺が良くないから。｣
そう言って部室に押し込められた。