放物線軌道 (ページ45)

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先輩の役目ページ45

外が暗くなり、梟谷がワンセット取った瞬間、
練習終了の時刻が来た。

木兎｢今日は練習終わり！また明日な～！！｣
そう言って木兎さんは片付けはじめた。

赤葦｢木兎さん、片付けるんで
このままにしてもらってもいいですか？｣
木兎｢なんだ赤葦、自主練か！
コートはそのままでいいぞ！！
あと、早めに寝ろよ！！｣
木兎さんは俺の肩に手を置いて言った。

赤葦｢木兎さんは自主練しないんですか？｣
いつもなら食いついてくるのに。

木兎｢悪いけどこれから黒尾とリエーフと
ボンキュッボンのねーちゃんの本見るからさ！｣
赤葦｢あぁ…そうですか。｣
そんなこと聞いた俺が馬鹿だった。

仕方ない、木兎さんは辞めよう。

Aを待っている間ボールで遊ぶ。
地面から跳ねて、壁に当たり、空中に飛ぶ。
真下からボールを捉えてバックトス。

俺はこの瞬間がずっと好きで練習してきた。

加速するボールを見送る。
スパイカーがピンポイントで撃ち抜く。
ドンピシャ。
チームの為に何回も何回も上げた。
いや、チームの為ではなかったのかもしれない。

｢…さん、赤葦さん！｣
そんなことを考えていると
誰かの呼ぶ声が聞こえた。

赤葦｢あぁ、日向か。｣
あの後普通に部活に戻り、練習試合に出ていた。

日向｢トス、上げてください！！｣
キラキラした純粋な目で俺を見上げる。

いつもなら木兎さんの
練習相手しないといけないから、と断るが、
当の木兎さんがいないので、

赤葦｢いいよ、A来るまでね。｣
日向｢いいんですか！？やった！！｣
と喜んですぐに落ち込んだ。

赤葦｢日向？｣
日向｢赤葦さんは、俺が日中倒れたからって
練習とか止めたり、
こまめに休憩を取らせたりしないんですか？｣
なんでそんなに優しいんですか、と
いくつもの質問を投げかけられた。

赤葦｢日向が言ってきたり、
プレー中の様子見て無理そうならそうする。
でもそれ以外にそうするのは違うと思う。

日向が跳びたい時に跳べる。
動きたい時に動ける。
ボールに触れたい時に触れる。

練習の時にそういう環境を作るのが
俺ら先輩の役目だと俺は思ってるから。

それに…日中寝たから動かないと
日向の体質上寝れないでしょ？｣
そういうこと、と言うと日向は目を輝かせた。

日向｢赤葦さんあざっす！！｣

深々と頭を下げられ内心驚いたのは内緒だ。