放物線軌道 (ページ37)

今日:7 hit、昨日:0 hit、合計:6,590 hit

また後でページ37

赤葦｢Aさん練習着貰ってるのに
ウィンブレはまだ貰ってないの？｣
そう言うと彼女は俯いた。

A｢うん。しばらく時間かかるみたい。
昨日とかは光太郎のウィンブレ着てたけど。｣
だからあんなに大きかったのか、と
今更ながら納得した。

あまり木兎さんと居てほしくない。

赤葦｢…貰えるまで貸すんで木兎さんの着ないでください｣
彼女は少し固まってから笑い出した。
A｢でも京治が寒いから光太郎の着ておくね｣
わざと言っているのだろうか。

赤葦｢2着あるんで着てください。｣
A｢じゃあお借りします。笑｣
俺のウィンブレを嬉しそうに見つめる
Aさんがたまらなく可愛い。

A｢京治、｣
赤葦｢ん？｣
A｢いや、京治っていい名前だなーって。｣
そう言って袖にある俺の名前の刺繍を撫でた。

その仕草に少しドキドキしてしまった自分がいる。

赤葦｢ずるい。｣
A｢え？｣
赤葦｢俺ばっかドキドキしてる｣
A｢ううん、私の方がドキドキしてるよ。
ウィンブレの京治の匂いとか
本人が隣にいることとか…｣
少し顔を赤くして話す彼女が、
何もかも可愛くて思わず抱きしめた。

A｢京治…？｣
赤葦｢部活前だから癒されたい…｣
Aさんは抱きしめ返し、
背中をぽんぽん、と叩いてくれた。
A｢頑張れ京治。｣
赤葦｢癒される…
このままずっと2人がいい…｣
A｢そろそろあの人が来るんじゃない？？｣
赤葦｢朝からうるさくされるとやる気が削がれる…｣
そう言いながら彼女の首元に頭を押し付ける。

木兎｢あかーし！！朝練前にスパイク…｣
ドアが思いっきり開かれあの人の声が響く。
噂をすれば、ってやつ。

A｢京治、光太郎来たから…｣
離れようとする彼女を捕まえる。
赤葦｢おはようございます、木兎さん。
Aさん、もうちょっとこのまま…｣
木兎｢くそー！！イチャつきやがってー！！
昔は俺のこと好きだったのに！！！｣
もう知らない！とそっぽを向いてしまった。

A｢そろそろ準備しないと…
落ち着いたらまたするから…ね？｣
そんな言われ方すると離さない訳にはいかない。
赤葦｢ん…わかった。｣
手を離すと彼女は立ち上がる。

A｢そろそろ行こっか｣
はい、と俺の前に手を出すAの手を握った。

木兎｢俺も俺も！｣
そう言って何故か俺の手を握った木兎さんが
嬉しそうにしているのを見た。