放物線軌道 (ページ17)

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腑に落ちないページ17

A｢じゃあ、頑張るね…！｣

Aさんは可愛い。
そんな人が俺の彼女だなんて夢にも思わなかった。

赤葦｢もう夜遅いので送っていきます。｣
幸い木兎さんがすんなりと帰って行ってくれたので
ちゃんと思ってることが言えた。

A｢いいよ。京治くん遠いから。｣
呼ばれ慣れない下の名前で呼ばれるのは
少し恥ずかしいけど、特別感が得られる。

赤葦｢彼女に暗い夜道を1人で歩かせるなんて絶対無理です｣

A｢京治くん優しいよね。｣
赤葦｢Aさんにだけ、ですよ｣
A｢光太郎と雪ちゃんにも優しいもん｣
赤葦｢あの2人は後輩としての優しいです。｣
A｢なんだそれ～
あっ！敬語外れてない！｣
赤葦｢あ、すいませ…癖になってて。｣

そんな話をしてる内に木兎さんの家の前に着いて。
もっと遠ければよかったね、なんて話をして。

A｢ありがとう。また、明日ね。｣
赤葦｢弁当楽しみにしてるね。じゃあ…｣
離れるのがもっと嫌になる前に離れよう、
そう思ってすぐに、去っていこうとした。

A｢京治くん｣
Aさんは俺の服の裾を掴んできた。

赤葦｢Aさん…？｣
A｢ぎゅってしてから行って…｣
内心驚いた。そんなこと言われるとは
全く思ってなかったから。

赤葦｢甘えたさんだね。｣
仕方ないな、と彼女を抱きしめる。
まあ、俺も抱きしめたかったというのは
内緒にしておこうか。

A｢わがまま言ってごめん｣
少し経って離れ、
満足そうな顔をしてるAさんを見て
思わず頬が緩む。

赤葦｢いいですよ。彼女なんですから。
じゃあ、明日。朝練で。｣

A｢うん。｣

本当は嫌だけど、木兎さんに返すことにした。

行きより暗い夜道を歩いて駅につく。

赤葦｢俺もこっちに住んでればな…｣
なんて独り言を呟いた。

明日の練習はどうにかなると信じたい。