放物線軌道 (ページ15)

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実は。ページ15

A｢赤葦くんって、下の名前何ていうの？｣
赤葦｢京治、ですよ｣
A｢京治、くんか。いい名前だね。｣
赤葦｢ありがとうございます。
下の名前であんまり呼ばれないので照れますね…笑｣
A｢みんな苗字だもんね。
京治くんって呼べばいいの？｣
赤葦｢しつこく言わなくても呼んでくれるんですか？｣
A｢光太郎はあんまり呼びたくないけど
京治くんならまあ…って感じ。｣
赤葦｢俺は今まで通りAさんでいいですよね。｣
A｢うん。…それ以外ないよね笑
今更感すごいけど、苗字で呼ぶ？｣
赤葦｢(名字)さん、って？｣
A｢ごめん、なんか変。笑｣
赤葦｢じゃあ今まで通りですね。｣
木兎｢赤葦聞いてくれよ～｣

駄々をこねる子供のように滑り台から叫ぶ光太郎。
さすがにこの時間は近所迷惑になる。

赤葦｢木兎さん。聞くんで静かにしてください。｣
木兎｢へーい｣
そう言って滑り台から降り、
京治くんの元に向かう光太郎。

赤葦｢それで、何ですか。｣
木兎｢ちょっとこっち…｣
光太郎は京治くんを私から遠ざけて
こそこそと話し始めた。

小声で会話が聞き取れない。

赤葦｢木兎さんしつこいですよ。諦めてください。｣
木兎｢だって諦めらんないんだもん｣
赤葦｢とりあえず、俺が話しますから。｣
木兎｢じゃあ頼む！！俺は疲れたから帰って寝る！｣
じゃあな、と光太郎は機嫌良く帰って行った。

A｢なんか…機嫌良かったね。｣
赤葦｢まあ…あの、Aさんに聞いていいですか。｣
A｢うん。何？｣
赤葦｢木兎さんと、付き合わないんですか。｣
A｢うん。だって…｣
赤葦｢さっき違うって言ってたのは分かってます。
…好きな人って誰ですか。｣
A｢え、っと…｣
今私の目の前に…

赤葦｢すみません。本当は分かってます。｣
A｢何で…バレるの…｣
赤葦｢あの時から、ですよね｣
A｢うん…｣
赤葦｢俺もだったんで。｣

一瞬、時が止まったように感じた。

A｢京治くん…｣

赤葦｢Aさん、貴女のことが好きです。
あの時からずっと気になってて。
でも木兎さんが好きだと勝手に思ってて。
部活ばっかだし、木兎さんのスパイク練付き合って、一緒に帰るの難しかったりするんですけど
ちゃんと守るんで俺の彼女になってくれませんか。｣

彼は真剣な目で私に言った。

こんな告白、生まれて初めて。