代償 Side.Protagonist ページ9
「心外だな…早く蹴りを付けよう、相澤」
勝己の言い草に苛立ちを覚えたらしい常闇 踏陰が『黒影』を構えた。
「…確かに」
困ったものだよ。
最後に残してた力だと言うのに。
私はついに腹を括った。
残していた力を振り絞った。
バリリ..!
自分で言うのも何だが、それはあまりに突然の出来事だったと思う。
己の雷光が『黒影』すら貫いて、常闇の胸を貫くのは。
黒こげになった常闇の身体が地面に崩れ落ちて行った。彼の身体が完全に地面に突っ伏したと同時に私も人型で地面へと降り立った。
「常闇くん戦闘不能。相澤さん三回戦進出＿＿!」
『相澤電力上げての三回戦進出だ!!』
主審の判定、トサカのやかましい実況、ハンソーロボで運ばれる常闇。
それら全てが私にとっては別世界だった。
(早く、行かないと)
行くのは、消太の元だ。行かないと。血を吸わせてもらわないと。
私は一歩踏み出した。そのつもりだった。
ガクン。
「!?」
踏み出した足に自分の体重以外の重さが乗し掛かって来た。
重さに耐え切れなくて、自分の身体が膝から崩れ落ちて行く。倒れ様、私の姿に目を見開く者たちの顔が移った。嫌なことだ、と不思議にも思った。
もう、地面は間近だった。
＿＿...Aちゃん!! 相澤くん! 相澤さん!! 相澤!
目を閉じるまでに聞こえて来た呼称。 眼球を刺して来る日光。
それら全てを、闇が呑み込んで行った。
###
目の前に、白い板があった。それが天井だとわかるのに０.3秒は要した。
「気がついたかい?」
リカバリーガールが声を掛けて来た。
今意識のある患者は私だけのようだ。現に、彼女は私に赤い液体の詰まったパックを寄越した。
「足りなかったみたいだね。一応輸血はしたんだけど...」
「ありがとう。貴女は”知ってる側”なんだな」
入学当初、消太が言っていた、“知らされた”人間の内の一人。
「そうさ...事実は小説より奇なり、とは良く言ったもんだね」
それは私の”個性”のことか、それとも。
「足りなかったら、それも飲みな。もうそろそろあんたの番だよ」
「えぇ、お世話になりました」
私は渡されたパックを懐に忍ばせ保健室を出て行った。
次は本気で挑まねばならない。次の対戦相手は...。
勝己だ。
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サラ(プロフ) - 未戳さん» お褒めいただき光栄にございます!楽しみにしていてください。 (2016年11月4日 22時) (
レス) id: cb57f05521 (このIDを非表示/違反報告)
未戳 - 今まで読んだ作品の中で一番面白いです!毎回楽しみにしてますよ!! (2016年11月3日 11時) (レス) id: e8817cfbda (このIDを非表示/違反報告)
サラ(プロフ) - ももタ郎。さん» ありがとうございます！是非とも頑張らせていただきます! (2016年10月11日 22時) (レス) id: cb57f05521 (このIDを非表示/違反報告)
ももタ郎。(プロフ) - 続編おめでとうございます！応援してます！ (2016年10月11日 22時) (レス) id: 222ce333cf (このIDを非表示/違反報告)
サラ(プロフ) - リズさん» ありがたいです!是非とも頑張らせていただきます! (2016年10月10日 20時) (レス) id: cb57f05521 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：サラ | 作成日時：2016年10月10日 15時
