お守り ページ44
「一応言っとく。“アヤマチ”なんてのはもう無しだからな?」
先日最後に残していった言葉を口にして、意地の悪そうに勝己は笑った。
「わかった。もう言わないから…」
私はそう言って、尖らせた牙を彼の肩に突き立てた。
痛みに軽く喘ぐ勝己。相変わらず、その姿は見るに耐えなかった。
過ち、と言ったのは、血を吸った後に残る罪悪感のせいだ。
今自分が噛み付いているのは獣などではなく、勝己なのだと思うと…。
腹が膨れて牙を離す。そのまま身体も離そうとしたら、勝己の腕がゆっくりと私の腰を回った。どういうことなのか、これでは離れられない。
「…なぁ、まだ持ってんのか?」
勝己の声が耳元で聞こえて、鼓膜がいつも以上に揺らいだ。
何が、と聞く。
「ッ去年の冬に渡した、」
あぁ、例のお守りか。どうしてそうも言い淀むのか。
「一応首に下げて、」
「見せろ」
「…??」
わけもわからず、服の下にあったそれを取り出した。それを手に取って、勝己は何故か目を丸くした。
「てめぇ、これ中まだ…」
「中?」
「何でもねぇ!」
勝己は途端に頬を紅潮させ、お守りを突き返してきた。
本当によくわからない。
「…じゃあ何でてめぇあんなモン…」
「あんなモン?」
「…だぁーッ！帰るぞ!!」
「…??」
本当によくわからなかったが、勝己の機嫌でこの日、下山した。
(そういえばこのお守りの中身は何なんだろうか)
以前出た疑問がまた浮かんできて、私は家に帰ってもしばらくそのお守りを手放せないでいた。
とは言ってもこのお守り、始終肌身離さず首にかけてるんだが。
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サラ(プロフ) - 未戳さん» お褒めいただき光栄にございます!楽しみにしていてください。 (2016年11月4日 22時) (
レス) id: cb57f05521 (このIDを非表示/違反報告)
未戳 - 今まで読んだ作品の中で一番面白いです!毎回楽しみにしてますよ!! (2016年11月3日 11時) (レス) id: e8817cfbda (このIDを非表示/違反報告)
サラ(プロフ) - ももタ郎。さん» ありがとうございます！是非とも頑張らせていただきます! (2016年10月11日 22時) (レス) id: cb57f05521 (このIDを非表示/違反報告)
ももタ郎。(プロフ) - 続編おめでとうございます！応援してます！ (2016年10月11日 22時) (レス) id: 222ce333cf (このIDを非表示/違反報告)
サラ(プロフ) - リズさん» ありがたいです!是非とも頑張らせていただきます! (2016年10月10日 20時) (レス) id: cb57f05521 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：サラ | 作成日時：2016年10月10日 15時
