親子への羨望 Side.Protagonisｔ ページ31
二人一緒にカチューシャをするだけで、笑い合うだけで、良好な仲に見える恋人や親子が羨ましかった。
せめて、せめてカチューシャだけでも付ければ自分も変わるのだろうか。
援助交際呼ばわりされたのを決して気にしていなかったわけではなかったから、せめて普通の父子に見えるようにだけはなりたかった。
しかし、カチューシャの値札を見て落胆した。破格な値段に消太に買うようにせがむなんてとてもできなかったのだ。
予想外にも購入してもらえたのだが。
それにしたって、今日の消太は少しおかしい。いや、そもそもこんな賑やかなテーマパークに行こうと言い出し、決行する時点で変わっているのだけれど。
「消太、」
何気なく呼ぶと、本人がこちらを振り返った。彼のしているカチューシャの耳が揺れる。
「似合う、か?」
ミニーマウスの耳が加わった私をしげしげと見た後、消太はいつものようにあぁ、と気のない返事を返した。
本当に、いつもにもまして彼の考えていることがわからなかった。
「ママー!お馬さんのやつ行きたい!」
いくつもの音が耳に入って来る中でとびきり耳に響くのは、子どもの声だった。どういうわけだかはわからない。けど、その邪気の無さに妙に魅力を感じた。
「…消太、メリーゴーランドに乗りたい」
「?コーヒーカップじゃないのか?」
いい、と答えると消太は拒む事なくそこに連れて行ってくれた。道中また、「援交」呼ばわりされたがまったく気にする事はなかった。
被り物一つで他人の目など気にならなくなったのだ。
我ながらどうかしている。
「お待たせしましたー!足元の段差に気をつけてお通りください!」
見ただけ、アトラクションの所要時間は約2分程度と短かく、一回の定員が約90名と多いので、ゲストの回転が良く、待ち時間はかなり短めだった。
煌びやかな通路を通って、空いている白馬へと歩み寄った。
「パパ!おひめさまやって!おひめさま!」
「…?」
前の白馬で駄々を捏ねる少女の姿があった。お姫様、とは一体どういうことだろう。
父親らしき男は仕方なさそうに、しかし娘からの願いに嬉しそうに頬を緩ませながら、
「はいはい…どうぞプリンセス」
と、言って少女に手を差し伸べた。
そのまま少女は嬉々として持ち上げられ、白馬へと乗せられる。
(…)
別に、羨ましくなんかない。そう頭の中で告げた。
けれど、その光景を見なかったことにしようとさっさと白馬に跨がろうとした時、手の平が出された。
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サラ(プロフ) - 未戳さん» お褒めいただき光栄にございます!楽しみにしていてください。 (2016年11月4日 22時) (
レス) id: cb57f05521 (このIDを非表示/違反報告)
未戳 - 今まで読んだ作品の中で一番面白いです!毎回楽しみにしてますよ!! (2016年11月3日 11時) (レス) id: e8817cfbda (このIDを非表示/違反報告)
サラ(プロフ) - ももタ郎。さん» ありがとうございます！是非とも頑張らせていただきます! (2016年10月11日 22時) (レス) id: cb57f05521 (このIDを非表示/違反報告)
ももタ郎。(プロフ) - 続編おめでとうございます！応援してます！ (2016年10月11日 22時) (レス) id: 222ce333cf (このIDを非表示/違反報告)
サラ(プロフ) - リズさん» ありがたいです!是非とも頑張らせていただきます! (2016年10月10日 20時) (レス) id: cb57f05521 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：サラ | 作成日時：2016年10月10日 15時
