予定びっしり ページ16
「相澤」
呼び止められて、ついそちらを向いた。そこに立っていたのは轟だった。
「何か…」
そう言おうとしてふと心当たりがあったことを思い出す。
「『優勝したら』、と言ってたわね」
「あ、あぁ」
「それは白紙になってしまったわけだけれど」
この男がもし優勝したら私に何を依頼するつもりだったのか、多少の興味はそそられたが、今は関係のない話だ。
「それでも…明日、もし空いてたら俺と」
ゴッ!
机が大分床を摩擦して動いた。あまりの不意打ちに私はすぐ原因に目を見張る。轟も大分驚いているようだった。
誰かが思い切り私の机の側面を蹴ったのだ。そしてその誰かとは…。
「勝己、用があるのなら声をかければ」「るせぇ」
まだ口から取れていないメダルに苛ついているのか、それとも不満の種である轟が近くにいるからなのか、至極機嫌の悪そうな態度だった。
「…今日、ウチに来る話だったろが」
はて、そんな約束してただろうかと考える必要はないに等しい。こういう時は黙って「そうだった」と言う方が明日いい一日を送れる。
「ごめんなさい轟。また今度」
「…あぁ」
轟は私に宣戦布告した時とはえらい違いで、妙に大人しかった。ただ、私が帰る身支度をするまでずっとそこに突っ立ったままだったので、多少不気味には感じた。
鞄を肩にかけ、ようやく一足先に教室に出て行った勝己の後を追えると思ったら、ずいっと手が出された。
「?これは」
しかも指先にはメモが挟まれている。
「もし、良ければ…来てくれ」
「?了解した」
私は多少頭に疑問を抱えながらも教室を出た(出久や麗日への別れの挨拶も忘れずに)。
メモの中身は…気が進まないので今は見なかった。そんなことよりも、機嫌が悪くて私のことなんか御構い無しにずいずいと進んでる勝己に追いつくことが先決だった。
(そういえば…消太に“例の水筒”のことを伝え忘れたな)
後で電話でも入れてみるか…と私は決めた。
勝己の背中に追いつくまで、あと三歩ほどだった。
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サラ(プロフ) - 未戳さん» お褒めいただき光栄にございます!楽しみにしていてください。 (2016年11月4日 22時) (
レス) id: cb57f05521 (このIDを非表示/違反報告)
未戳 - 今まで読んだ作品の中で一番面白いです!毎回楽しみにしてますよ!! (2016年11月3日 11時) (レス) id: e8817cfbda (このIDを非表示/違反報告)
サラ(プロフ) - ももタ郎。さん» ありがとうございます！是非とも頑張らせていただきます! (2016年10月11日 22時) (レス) id: cb57f05521 (このIDを非表示/違反報告)
ももタ郎。(プロフ) - 続編おめでとうございます！応援してます！ (2016年10月11日 22時) (レス) id: 222ce333cf (このIDを非表示/違反報告)
サラ(プロフ) - リズさん» ありがたいです!是非とも頑張らせていただきます! (2016年10月10日 20時) (レス) id: cb57f05521 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：サラ | 作成日時：2016年10月10日 15時
