巣立ちは近し ページ41
今日は待ちに待った入学式。
今日という日は珍しく、消太と一緒に登校することになった。
職員会議があるとかで、べらぼうに早い登校となったし、記念すべき(こういう人間独特の感覚は未だに謎だけれど)初登校の日を出久と共にできなかったが、悪い気はしなかった。
ただし、何かあるなとは思った。
現に、ラッシュで揺れる電車の中、彼は始終何処か違う所を見ていたし、声をかけてこようともしなかった。
経験上、人はこういう時、何か抱えているものだ。悩みなど。
私はそういうのは基本すぐに片付けるようにしてる。
ただし、先日からの勝己の態度の豹変ぶりは未だに気になるけど。
そうこうしてるうちに学校に着いてしまった。
相変わらず無駄に広い敷地、そして教室のドアも無駄に大きい。
消太に案内してもらったのだ。
因みに1年A組だった、わかりやすい。
「A」 教室に入った時、やっと名前を呼ばれた。
幸い朝早く、教室は無人だ。
ついに要件か…と身構える。
「…今のところ、俺とお前以外で、お前の“個性”を詳しく知ってるのは…校長と一年の授業を受け持つ教師数名だ」
「…!!喋ったのか!?」
「我慢しろ、もしものことがないように、だ」
もしものこと。
私が我を忘れて、見境いなく人を襲うような事、だ。
「そんな事ありっこない、週に一度は欠かさず狩りを行ってる!」
「我儘言うな、お前自身わからないことがある以上、警戒は解けない」
私が口調を忘れるほど取り乱してる一方で、消太は冷静だ。
でも、廊下の向こうから人の気配がしてきたら、流石に私も口を閉じなければならなかった。
「いいか、これだけは忘れるな。
昔と違って俺は生徒じゃない…教師なんだ。
お前一人だけじゃない、その他にも教え子はたくさんいる。
そいつら全員守るべき立場になったんだ、お前だけに目を向けていちゃいけない…嫌いだろう、贔屓は」
消太の人差し指が私の胸部に立ってる。
何だかよくわからないけれど、こう諭されると本当に自分は子供なのだと突き立てられているような気分だった(実際そうだけど)。
人の気配が強くなると、消太は私の元から離れていった。
「信じろ、俺は教師なんだ。他のみんなだってそうだ。
みんなが守ってくれる」
私は、彼の姿が見えなくなるのを見送った。
(教師、か)
十年以上前は共生者として、ここにいた。
(今は教師と生徒、だ)
その事実を噛み締めて、教室に入った。
これが、始まりだった。
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ハック - ぶつかりあえのところヒーロになっとる (2021年9月25日 22時) (
レス) @page29 id: 0c5e7e9ecb (このIDを非表示/違反報告)
サラ(プロフ) - 時雨さん» はい、私もおもくっそ楽しみです。 (2017年1月6日 7時) (レス) id: cb57f05521 (このIDを非表示/違反報告)
サラ(プロフ) - 時雨さん» わぁお!!本当ですね、ご指摘ありがとうございます。 (2017年1月6日 7時) (レス) id: cb57f05521 (このIDを非表示/違反報告)
時雨(プロフ) - 瞳孔じゃなくて同校じゃないですか？「恐るべし」の所 (2017年1月5日 23時) (レス) id: c6b79d49da (このIDを非表示/違反報告)
時雨(プロフ) - 夢主ちゃん可愛いぃぃぃぃ！家庭教師ヒットマンREBORNご存じなんですね！私エルドライブアニメ化楽しみすぎて寝れないです (2017年1月5日 22時) (レス) id: c6b79d49da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：サラ | 作成日時：2016年8月6日 17時
