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人脈広し、 ページ8

「今日はどれくらいして行く?」

「今日は早めに切り上げたい。姐さんが任務から帰って来るから」

「姐さん?」

「尾崎紅葉」


私は内心驚いた。

尾崎紅葉はポートマフィア五大幹部の一人だ。最下級構成員の私が顔を合わせることもできない、上層部の人間である。

意外と、幅広い人脈だ。


「うん、姐さんは私に良くしてくれてるから感謝してる」


また心を読まれ、私は僅かばかりに狼狽した。


「なあ、その異能は扱えないのか?」


そう言うと、寂しそうに彼女は頷いた。


「此の異能、無意識に発動しちゃうの…」


「…そうか、悪い」


 異能力を扱えない者の行く先は大体決まっている。

私のように力で物を言わせる道に走るか、その力を見初めた者に利用されるかのどちらかだ。

彼女の反応から見ても相当苦労しているのだろう。


「うん、でも此処に来てからは大分楽だよ」

「...其れは良かったな」


しかし、読心術には相変わらず慣れない。








 「姐さん!」

「A」


二人は目が合うと、互いに抱擁を交わした。

私は同行を拒否したのだが、Aに「貴方は私の護衛なのに同行しないの?」と聞かれ大人しく付いて来た。

私は正直此の場に居づらかった。

尾崎はAを離すと、私に目を向けた。まるで仇を見るかのように冷たい視線だ。男嫌いなのか、単に妹分を愛しているかのどちらかだろう。
それにしたって、私はキリキリと胃が痛んだ。


「姐さん、この人私の新しい護衛の人。織田作之助って言うの。
とても優しい人だよ」


Aはまた尾崎の心を呼んだのかもしれない、つらつらと私の紹介を始めた。


「ほう、お主があの」


光栄なことに、私の噂は彼女の耳にまで届いているようだった。
彼女は私に貼付けたような笑みを浮かべた。




「お主の噂は聞いておる、何でも不殺のマフィアとか」


「...まだ不束ものですが」




頭を下げて、彼女を視界から入れなくても、殺気は届いていた。
そして、それが一層濃くなる。




「...今までの護衛共は皆Aに手を出そうとした下衆ばかりでのう、お主もその一人でないことを祈るばかりじゃ」


それは暗に、『手を出したら殺す』という警告だった。
私は以前の護衛が三日で辞めた理由がわかった気がした。Aに余程の不届きを働いたのだろう。首領の娘に、大した愚行を働く者がいたものだ。

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サラ(プロフ) - 真昼ノ夢さん» 嬉しいコメントありがとうございます!今後も楽しみにしてください (2017年5月11日 1時) (レス) id: cb57f05521 (このIDを非表示/違反報告)
真昼ノ夢(プロフ) - すっごく面白かったです!一気に読んじゃいました(*^^*)更新を楽しみにしています (2017年5月10日 22時) (レス) id: 91c8c67e41 (このIDを非表示/違反報告)
サラ(プロフ) - kanameさん» うれしいコメント誠にありがとうございます…変換ミスやっちまったなあ… (2017年5月7日 20時) (レス) id: cb57f05521 (このIDを非表示/違反報告)
kaname(プロフ) - スッゴク好みです( ☆∀☆)応援しています(^o^)vあと、25ページの君が黄身になってますよー (2017年5月7日 19時) (レス) id: e97e2f1677 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:サラ | 作成日時:2017年5月6日 9時

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