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異動会談 ページ47

「鴎外殿!」


紅葉は取り乱した様子で、執務室に駆け込んだ。

彼女は大分激昂している様子で、次の瞬間は彼女の異形、『金色夜叉』が姿を現すのでは、と思えるくらい鬼気迫った表情だった。


「どうしたのかね、紅葉君。
君らしくないじゃないか、そんな取り乱して…」

「どうもこうも…ッ、先程の会議で話した事は一体どういう了見か!

Aを…首領補佐にするなどと!」


その反応を見越したかのように、森は肩を竦めた。


「何か不満が?」

「不満だ何だとそういう問題ではない!
下の者が納得せんに決まっておる!

この大事な時期にもし内輪揉めなど起きたら…!」



先程開かれた五大幹部会で、最後に首領である森から発表した決定事項。

それは最下級構成員である林Aを『首領補佐』という新たな役職に任命するというものだった。

勿論この役職の詳細と突然の報告にどの幹部も驚きを隠せなかった。

首領補佐は、五大幹部と同等の権限を持ち、首領の次に組織を回す役割を持つ…
つまり実質的には、補佐役は組織のNo.2ということになる。

一最下級構成員を行成そのような役職に就かせるなど、正気の沙汰でない。

首領は狂ったのか、いくら自分の娘とは言え、と先程は会議中にも関わらず幹部たちは騒いでいた。

もしそのような事が組織で発表されれば、結果で目に見える。


「もしAが嫉妬と怨恨の的となったら、どうする気なのか!」

「まあまあ紅葉君。
その程度の事、彼の娘ならどうとでもなるよ。
人の悪意のあしらい方は、教授してきたからね」


自身がいくら怒りをまくし立てようがこの男の前ではまったくの無意味…と気づいた紅葉は大人しく我が身を落ち着かせた。


「…なら、せめて説明の一つでも。
何故急にAを己に近づけたのか」


今回の行動は慎重で賢明な森らしくないものだった。

一体何がこの男にそのような奇行を?


森は静かに微笑んだ後、ポツリと呟いた。


「私も耄碌するということだよ、紅葉君」


その言葉に、紅葉は息を呑んだ。
いつもなら気にならない、森の顔の小皺が目についた。


「先程“この大事な時期に”と言っていたね。

この時期だからこそ、だよ。

君にだからこそ言えるが、私も、夜な夜な首を掻き切られる夢を見るのにはもう疲れたのさ」


森が珍しく自分の感情を露わにしたことに、紅葉は衝撃を受けた。




夜の帳が、上がっていく。

林芙美子とは→←対談 ※猥語



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サラ(プロフ) - 真昼ノ夢さん» 嬉しいコメントありがとうございます!今後も楽しみにしてください (2017年5月11日 1時) (レス) id: cb57f05521 (このIDを非表示/違反報告)
真昼ノ夢(プロフ) - すっごく面白かったです!一気に読んじゃいました(*^^*)更新を楽しみにしています (2017年5月10日 22時) (レス) id: 91c8c67e41 (このIDを非表示/違反報告)
サラ(プロフ) - kanameさん» うれしいコメント誠にありがとうございます…変換ミスやっちまったなあ… (2017年5月7日 20時) (レス) id: cb57f05521 (このIDを非表示/違反報告)
kaname(プロフ) - スッゴク好みです( ☆∀☆)応援しています(^o^)vあと、25ページの君が黄身になってますよー (2017年5月7日 19時) (レス) id: e97e2f1677 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:サラ | 作成日時:2017年5月6日 9時

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