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ただ逢う為に ページ33

「今日の『マリスステラ』とか云う猫は随分と可愛らしかった...是非、飼いたかった」

「そうか」


説明すると、『マリスステラ』と云うのはマフィアが懇意にしている取引先の社長の飼い猫の名です。先日から行方知れずになっていたとか。
今日の任務は其のマリスの捜索でした。

猫探しなど私の異能を以てすれば御茶の子さいさいです。そこらで昼寝をしている野良猫や、塵をあさっている烏を買収して目撃情報を聞き出すのです。

汚い?いいえ、大人の取引です。動物社会でもギブアンドテイクは重要なのです。


{...正気か?アレは随分と太々しかったぞ}

「確かに『あんな脂ぎった主人の元に帰るなど御免被る』とか云っていたけれど、口の悪ささえ除けばいい子だった」

「そんな事云ってたのか」


人間は愛玩動物だとかいって動物を可愛がりますが、大抵彼らは我々人類が嫌いです。それもそのはず、我々にとっての嬉しいが、彼等に取っての『嬉しい』とは限らないから。

生まれてから16年間、ずっとそれを見て行き続けて来たんですよ?矢っ張り此の異能は嫌いです。


 「A、今日は親爺さんのところに行きたい」

「いいね、そうしよう」


私が偶然彼処の店の�喱が美味しいと零したところ、珍しく作之助は喰いつきました。その日、私は初めて彼の�喱好きを知りました。

 其の翌日、彼は張り切って(ええ、判るのです。彼の密かな、少年のような心を)私を引きずり例の洋食店に連れて行きました。その日以降、彼は週に三階は彼処の�喱を食べているのです。
私も愚かな事に、彼が�喱を頼めば同じ物を注文してしまいます。

だから恋は恐ろしい物です。どんな生真面目で真っ当な人間でもまったくの莫迦にしてしまうから。

なので私は自分に気のある、私がまったく知らない男を不憫だとさえ感じてしまいます。私のような全うでない人間に行為を抱くなど、碌な事がないでしょう。

だから私は作之助に抱いた此の想いも、胸に秘めた侭にする事としました。

私のような女が、彼のような寛大な男と釣り合うわけがないと思っていましたから。





 「おい、A」


ふと呼ばれたので振り返れば、其処には何処か不機嫌そうな中也が経っていました。私は少しばかり嫌な予感がしておりましたが見て見ぬ振りをするわけにいかなくて、踵を返しました。


「中也、どうかした?」

「一寸頼まれてくれねぇか」

「む?」私は首を傾げました。

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サラ(プロフ) - 真昼ノ夢さん» 嬉しいコメントありがとうございます!今後も楽しみにしてください (2017年5月11日 1時) (レス) id: cb57f05521 (このIDを非表示/違反報告)
真昼ノ夢(プロフ) - すっごく面白かったです!一気に読んじゃいました(*^^*)更新を楽しみにしています (2017年5月10日 22時) (レス) id: 91c8c67e41 (このIDを非表示/違反報告)
サラ(プロフ) - kanameさん» うれしいコメント誠にありがとうございます…変換ミスやっちまったなあ… (2017年5月7日 20時) (レス) id: cb57f05521 (このIDを非表示/違反報告)
kaname(プロフ) - スッゴク好みです( ☆∀☆)応援しています(^o^)vあと、25ページの君が黄身になってますよー (2017年5月7日 19時) (レス) id: e97e2f1677 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:サラ | 作成日時:2017年5月6日 9時

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