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曇天の下に集う ページ31

この傷は、二年前中也の異能の暴走によって付けられた物だ。
太宰も同行した任務で、暴徒と化した中也を一人止めようと先陣を切って飛び出したAが、負った傷だった。

呆れたことに、彼女は片目から血を流しつつも、正気に戻った中也に向かってこう言ったのだ。


『怪我はなかった?』


…もう二度と陽を見ることさえ出来ぬ彼女。

傷物になった彼女。


中也の事を恨んではいないだろうが、彼女はもう二度と男と寝る夢など抱けないだろう。


「こんな傷物じゃあ、大抵の男は寄って来ないだろうね」


太宰は自分の発言が最低極まりないことは自覚していたが、この女を手に入れるためなら何でもしてやろうと云う腹積もりだった。


「織田作はこの事を知ってるのかな?」

「…!」


Aは明らかに動揺して、一つだけの目を逸らした。

矢張り、と太宰はほくそ笑んだ。


Aが織田作に相棒としての親愛以上の感情を抱いている事は明白だった。
それくらい太宰じゃなくてもわかる。


以前から、彼女が己の師匠であり相棒である彼を自慢し賞賛する旨の話を聞いていた。

仕事の手際は良い、仕事で猫探しをする時の猫の扱いが上手い。
女癖も悪くなくて天衣無縫で意外とおぼこくて、まるで大きくい子どもを相手にしているようだ。

まあ偶に鈍感で突拍子もない事を言ってくるのだけれど。

そんなに色々思っているなど、相手に己の感情を向けているなど、恋をしている以外で何と云うのか。


彼女の口から織田作の名が出る度に、太宰の胸の黒い火は強さを増した。


「知らない。でも、」

「やめときなよ。君の過去を背負わせる気かい?

ねえ、私にしときなよ。私なら君の中の全部、愛してあげられる」


それは太宰にとっては一世一代の告白であった。狂気的な。









「…本当に?私には貴方が自分のことだけで精一杯って顔してるように見える」

「!」

「貴方の目って乾いてる。貴方が涙を呑み込んでるから。
心は何度も引き裂かれているのに、貴方がその度に悲鳴を押し殺しているから誰にも気づかれない。

…私は、貴方は嘘を吐いて自分の感情を全部隠してるだけの臆病者に見える」


気づいたら、私は今迄思っていたことを全部彼に言っておりました。

それを云うことが何よりも危険なことを私は知っていたのに。

予想通りでした。

治は行成私の顎を鷲掴み、彼自身の目と鼻の先まで、私の目を持ってきておりました。

私はこんなに怒りを露わにした治を初めて見ました。

心を読まずとも→←闇よ 深し



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サラ(プロフ) - 真昼ノ夢さん» 嬉しいコメントありがとうございます!今後も楽しみにしてください (2017年5月11日 1時) (レス) id: cb57f05521 (このIDを非表示/違反報告)
真昼ノ夢(プロフ) - すっごく面白かったです!一気に読んじゃいました(*^^*)更新を楽しみにしています (2017年5月10日 22時) (レス) id: 91c8c67e41 (このIDを非表示/違反報告)
サラ(プロフ) - kanameさん» うれしいコメント誠にありがとうございます…変換ミスやっちまったなあ… (2017年5月7日 20時) (レス) id: cb57f05521 (このIDを非表示/違反報告)
kaname(プロフ) - スッゴク好みです( ☆∀☆)応援しています(^o^)vあと、25ページの君が黄身になってますよー (2017年5月7日 19時) (レス) id: e97e2f1677 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:サラ | 作成日時:2017年5月6日 9時

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