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再び割る ページ27

「君の言う冗談ときたらタチが悪い、『妊娠した』と言われるのと同じくらい肝が冷える」

「...リンタロウは、私が結婚したらダメなの?」

「嗚呼嫌だ。君もエリスちゃんも、結婚してウェディングドレスを着ている姿など到底想像がつかないよ」


...私の脳裏には何故か作之助の顔が浮かびました。
其の理由はきっと知らない方がいいと思いました。


 「…却説」

「うん」

「A。そろそろ本業に戻る気はないかね?」


ああ、やはり。私の顳�から痛みが発せられました。


 私は作之助といるうちに、気づいた事がありました。


私が嘗て暗殺という所業を嫌悪していたと言うこと。

私の為でなくて、誰か(リンタロウ)の為に生きていたと云うこと。


 私の生き方は、自分に嘘を吐く生き方だったと言うこと。

私はただの卑怯者でした。

そんな卑怯をしているから、私の生き方は生半可になったのです。


「...首領」

「何かね?」


私の纏う雰囲気に、少なからずリンタロウは気付いたようでした。


「配置換えを願いたいのですが」


途端に、彼の目付きが鋭くなりました。

私も治も、この冷徹な覇王の気迫を直に感じてきました。其れは決して、慣れるものではないという事もよく知っておりました。


「...何故?」

「貴女は嘗て、私に殻を破れと云った。今がその時だ。

合理主義の貴方の意向に反するのは判っています。

けれどもし私に義父としての“想い”を向けて下さるのなら...私に”向いていない”生き方をさせてください。
私は”自分のしたい”生き方がしたい」


 おそらく、私が彼に楯突いたのは、此れが初めての事でした。
多分、私は処罰の対象となるでしょう。それでも構いませんでした。自分で生き方を選べるのだから。

少しでも”彼”のように勇敢になれるなら。


「...いいだろう。許可しよう。何処に行きたい?」

「!?」


私は思いがけない反応に思わず目を見開いてしまいました。おや、とリンタロウも目を見開きます。


「不満かね?」

「ううん。意外だった」

「そうだろうねえ、でも私は一組織の首領である前に、君の親でもある。

私は教育に関しては子の自由にさせてやりたくてね」


私は何が裏があるのではないかと、異能を使おうと試みましたが、リンタロウは頭の中でサッカーのスコアを読み上げて本心を隠しておりました。

ううん、矢張り彼には勝てません。

人の口にゃ門立てられぬ→←呼び出されたその日には



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サラ(プロフ) - 真昼ノ夢さん» 嬉しいコメントありがとうございます!今後も楽しみにしてください (2017年5月11日 1時) (レス) id: cb57f05521 (このIDを非表示/違反報告)
真昼ノ夢(プロフ) - すっごく面白かったです!一気に読んじゃいました(*^^*)更新を楽しみにしています (2017年5月10日 22時) (レス) id: 91c8c67e41 (このIDを非表示/違反報告)
サラ(プロフ) - kanameさん» うれしいコメント誠にありがとうございます…変換ミスやっちまったなあ… (2017年5月7日 20時) (レス) id: cb57f05521 (このIDを非表示/違反報告)
kaname(プロフ) - スッゴク好みです( ☆∀☆)応援しています(^o^)vあと、25ページの君が黄身になってますよー (2017年5月7日 19時) (レス) id: e97e2f1677 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:サラ | 作成日時:2017年5月6日 9時

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