昼下りの洋食屋 ページ21
今日の任務は『マフィアの管轄への挨拶』でした。住宅街にある洋食屋です。
何でも前の担当は先日辞めてしまったようなのでした。まだ若いのに、骨のない輩です。
そして、人の良さそうな壮年の店主が笑顔で出迎えてくれて...
「ポートマフィアの人手不足も深刻そうだねェ。こんな黒いの来てない下っ端寄越すなんてさ」
と、いうわけでもありません。
構成員は制服として黒衣の着用が義務づけられています。つまり、私のようなそこそこ上の人間や作之助のような最下級構成員は着ないわけです。
私達の外見で、此の店主は判断したようなのです。私達の実力を。
まあ、仕方ない。何せ私達は二十歳も過ぎていない若造。私に至っては世間では高校に行っている年齢です。
「この辺も最近物騒なんだよ。先日だって此処に押し掛けて店ン中でドンパチ始めたゴロツキがいてさ...おかげで書き入れ時だってのに此の有様だ」
確かに朝食時だと言うのに、店には客の一人もいません。
そう言えば先日リンタロウが『近々戦争が始まるかもしれない』とぼやいていたのを思い出します。店主の彼も頼りない担当ばかりを当てられてほとほと参っているようでした。
心底迷惑してると言いた気に店主は続けました。
「安くない上納金払ってんだから、その割に見合った働きしてよね」
「それは面目ない」「善処しよう」
以前治が『ウチに入って来る部下と来たら最近不出来が多いのだよ。Aのところから数人引き抜きたいくらいだ』と愚痴っておりました。その時は苦笑しながら宥めましたが、案外笑い事では済まされないようです。
「特にお嬢ちゃん!本当に戦えんの?」
「それについては保証します。問題は此の店で殺人事件が起きる可能性があるってことですかね」
「うん、お願いだからお客さんがいる前だけでは言わないでね、そんな物騒な事」
｛まったく、こんなちっこい別嬪さんがマフィアだなんて世も末だよ｝
私は店主の心の内を盗み見ました。ほんの少し。
元軍人の彼は健やかすぎなければ、病んでいるわけでもない、至って普通の心持ちでした。
私を哀れむ事もなければ思った事を嘘で包み隠す事もしない彼を、私は気に入りました。
どことなく作之助のようだ、と思いました。
ふと、私はある気配に気付きました。
それは丸みを帯びていましたけれども、鋭い光を放つ”殺気”でした。
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サラ(プロフ) - 真昼ノ夢さん» 嬉しいコメントありがとうございます!今後も楽しみにしてください (2017年5月11日 1時) (
レス) id: cb57f05521 (このIDを非表示/違反報告)
真昼ノ夢(プロフ) - すっごく面白かったです！一気に読んじゃいました(*^^*)更新を楽しみにしています (2017年5月10日 22時) (レス) id: 91c8c67e41 (このIDを非表示/違反報告)
サラ(プロフ) - kanameさん» うれしいコメント誠にありがとうございます…変換ミスやっちまったなあ… (2017年5月7日 20時) (レス) id: cb57f05521 (このIDを非表示/違反報告)
kaname(プロフ) - スッゴク好みです( ☆∀☆)応援しています(^o^)vあと、25ページの君が黄身になってますよー (2017年5月7日 19時) (レス) id: e97e2f1677 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：サラ | 作成日時：2017年5月6日 9時
