寛容 ページ30
目の前には物間の呆れたような顔がある。
「それとも何?そんなことがあって、それでも君を罵倒できるような極悪非道な連中に僕らが見えるわけ?」
鼻で笑われ、私は肩透かしを喰らった気分だった。
「ていうかさ、そんなしなくてもいい謝罪して僕らの訓練時間取らないでよ。
それともこれは君らの作戦かなんか?
ハン、狡猾だね〜」
「おいこら、言い過ぎだぞ」
拳藤が嗜めるように物間の後頭部を小突いた。そして柔らかい表情を私に向けた。それだって私を驚かせるのには十分なものだったのに、それから彼女に言われたことさえも驚いた。
「ごめん、こいつがこんな言い方したからアレかもしんないけどさ。
要約すると、私たち全員誰も気にしてないってこと。
こんなこと気にしてたらヒーローになんてなれないもん」
「…それは、ありがとう」
私はしばらく表情筋一つ動かせなかった。そして背中にバン!と衝撃が走る。
「つか、こんなアホに頭なんか下げてんじゃねえよ、脳味噌落ちんだろーが」
そう、口の悪さは一級品、勝己だ。
その主に自身だけに向けられた悪口に物間が腹を立てないわけがない。
「何だと!?あー残念君こそそのまま敵の手に堕ちてれば良かったのに!」
「あんだと堕ちるかこの俺が!!」
「ハン!生まれつき敵みたいな顔してるのに!?」
「上等だ、今ここでその似合わねースーツ消し炭に…!!」
ゴッホン!!
やけにその場に響く咳払い。
言い争いをしていた二人が喧嘩を邪魔したそれに睨みを寄越した後…直ぐに凍りついた(ように見えた)。
そこには更なる冷たさを誇る、教師二人の般若面があった。
私の本能もこいつらに逆らってはいかんと告げている。
後に出久から聞いたが、合宿の夜もB組の男子と馬鹿をやって(しかも原因は夕食の肉らしい、バカだ)、この二人の怒りに触れたらしい。今の状況はそれを思い出させるレベルの恐怖なんだそうだ。
こんなもの度々見せられていては堪らない。是非今後はこの二人に自重してもらわなければ。
「…話は終わったか」
「「「…はい」」」
「…相澤、謝罪をするのは一向に構わないが時間は選べ。もう時間押しているわけだしな」
「すみませんでした」
「そして爆豪。お前の粗暴さもそろそろ改善してもらおうか」
「…ウス」
「物間!お前も一々いらないケンカを売るな!己の品位を落とすことになるぞ!」
「…ごめん、先生」
こうして、私の謝罪会見は少し物騒に幕を閉じたのである。めでたしめでたし。
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サラ(プロフ) - みかん ( ∴^ω^ ∴)さん» 嬉しいコメントありがとうございます!是非楽しみにしていてください。今後も本作をよろしくお願いします。 (2018年7月18日 6時) (
レス) id: cb57f05521 (このIDを非表示/違反報告)
みかん ( ∴^ω^ ∴) - 漫画、夢小説、そして 貴方様の様な神作者様...巡り会えて 毎夜 毎夜 が こんなにも 幸福感 と言いましょうか。冒険心に近い...言葉では言い表せない程に溢れ出して止まりません。涙諸共。楽しみです♪♪ (2018年7月18日 2時) (レス) id: 20ebeafef2 (このIDを非表示/違反報告)
サラ(プロフ) - 駒木さん» 嬉しいコメントありがとうございます!応援お願いします! (2017年4月4日 0時) (レス) id: cb57f05521 (このIDを非表示/違反報告)
駒木 - しっかりした文体で、とても素敵な作品です。これからも応援しています(^-^) (2017年4月3日 23時) (レス) id: 1c35282859 (このIDを非表示/違反報告)
サラ(プロフ) - 私のヴィランアカデミアさん» お…おお!コメントありがとうございございました!頑張らせていただきます! (2017年3月28日 21時) (レス) id: cb57f05521 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：サラ | 作成日時：2017年3月19日 23時
