21話 帰り道 ページ26
「お疲れ様でした!私もう帰りますね」
部室にお邪魔する訳にもいかず、手早く倉庫の隅で着替えた私は一言掛けてから体育館を出るつもりだった。
「送っていくからちょい待っといて!すぐ着替えてくるわ!」
「そんなに遠くないですし、大丈夫ですよ」
「夜道は危ないし、な?」
「でも」
「侑に送って貰ったらええ。女の子一人やと危ないやろ」
これ以上断り続けるのもなんだか申し訳ない。
「それじゃあ、お言葉に甘えて。」
そんな訳で私は今、宮くんと一緒に夜道を歩いている。
「部活どうやった?」
「マネージャーって思っていた以上に大変ですね。まだ手助けして貰わないと中々...」
「そんな気にせんでええって!」
「でも、いつまでも迷惑はかけられないので」
「いつまでもって、今日は初日やろ?大空さんは真面目やね」
「真面目だなんてそんな...」
「気張ってたら疲れるだけやから、もっと気楽にしたらええよ。その方が絶対楽しいし、俺も嬉しい」
宮くんの返答は私を気遣ってくれるものばかりだった。
こういうところが宮くんの良い所で、周りから好かれる所なんだろうなと思う。
それからも部活の話とか、他にもたわいの無い話だとか、お互い無言になることも無く家の近くまでやって来た。
「送って貰ってすみません。もうすぐ着くのでここで大丈夫です」
「ええって!それじゃ、また明日」
少しずつ遠くなっていく宮くんの背を見送ってから、私も家へと歩を進めた。
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淀(プロフ) - めーぷるさん» コメントありがとうございます!とても励みになります。現在私生活の方が忙しく更新できておりませんが、待っていただけますと嬉しです! (2020年2月9日 13時) (レス) id: a73053601c (このIDを非表示/違反報告)
めーぷる - え、めちゃめちゃ面白い・・・。更新頑張ってください!楽しみにしてます! (2020年1月27日 16時) (レス) id: f01d8b6a59 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:淀 | 作成日時:2020年1月17日 2時